辿りついたのは“広告自体を眠らせる”というアイデア ブレインスリープが挑んだ新しいOOHのかたちとは

公開日:2025年10月06日

  • 中野寛之氏(ブレインスリープ)

2025年春、とある交通広告が話題になった。一見、車内に目立つ広告の気配はない。実施したのは、睡眠関連商品を手がけるブレインスリープ。展開したのは、広告の存在すら“眠らせる”という異例のOOH施策「脳が眠る電車」だ。交通広告グランプリ2025での受賞をはじめ、高い評価を集めた本企画は、いかにして生まれ設計されたものなのか。

本施策のきっかけは、「年度末におけるビジネスパーソンの脳疲労」にあったと、ブレインスリープのブランドコミュニケーショングループマネージャー中野寛之氏は語る。

「年度末の3月は、多くのビジネスパーソンが忙しく、睡眠時間も確保しにくいのではないかと考えていました。そんな中、通勤電車という限られた時間でも、脳を休めてほしいという想いから企画したのが、『脳が眠る電車』です」(中野氏)。

その狙いは、同社の主力商品「ブレインスリープピロー」の特長である「脳を休めて効率よく疲労回復する機能」を、疑似的に体感してもらうことだ。そのために選ばれたのが、「極限まで情報をそぎ落とす」という表現戦略だった。

中づりの広告には、従来の紙ではなく、あえて透明のフィルムを採用。そこに配された文字もごく控えめに抑えられ、車内の空間に自然と溶け込むように...

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