意表を突き、思わず写真に収めたくなる仕掛け。街と広告が一体化したようなクリエイティブ。日常の風景に溶け込みつつ、強く印象に残る存在、それがOOHの形態のひとつである「アンビエント広告」だ。今回は、Netflixや講談社のプロモーションを手がけてきたOOH専門エージェンシー・halfwaytheir(ハーフウェイゼア)の栗山太成氏と祐下芳輝氏に、その魅力と可能性、そして日本における課題と展望について話を聞いた。
スマートフォンを開けば、どこにいても広告が流れてくる現代。生活のあらゆる場面が広告に接続され、多くの広告体験がデジタル空間の中で完結するようになった。一方で、近年強化されている個人情報保護の規制により、かつてデジタル広告の強みとされてきた高度なターゲティングが困難になりつつある。こうした変化を背景に、改めて注目を集めているのが、OOH、そのなかでも「アンビエント広告」と呼ばれる手法。従来の看板やデジタルサイネージといった広告枠にとどまらず、街やその景色をメディアとして活用し、風景や日常空間に自然と溶け込むように展開される広告手法だ。
なぜ、今アンビエント広告か?
OOHのなかでもアンビエント広告に注目が集まる背景には、広告業界を取り巻く環境の大きな変化がある。
まずは、プライバシー保護の強化により、サードパーティークッキーの利用制限が進み、従来のような精緻なターゲティングが難しくなってきたこと。もうひとつは、情報過多の時代にお...
