京王井の頭線下北沢駅の高架下に誕生した「ミカン下北」は、かつて線路だった場所を、カルチャーが息づく“目的地”へと変貌させた複合施設のひとつだ。古着、雑貨からグルメ、ワークスペースまでがそろう空間は、街と人をゆるやかにつなげるハブとなっている。街にただよう“下北沢らしさ”を活かしつつ、“未完成”な場所として進化を続ける同施設に込めた想いについて、京王SCクリエイションの石塚まゆ氏に話を聞いた。
京王井の頭線・下北沢駅の高架下に広がる複合施設「ミカン下北」。かつては列車の線路であった場所が、今では目的地としての存在感を放っている。多様な店舗や活動が共存するこの場所は、なぜ人々を惹きつけてやまないのか。その裏側には、鉄道会社としてのまちづくり戦略と、挑戦を後押しする「未完地帯」という独自のコンセプトがあった。
高架下が新しい挑戦の舞台になる
ミカン下北の開発を主導したのは、京王電鉄。現在、施設運営は京王グループで商業施設運営を担う京王SCクリエイションが行っている。2024年に京王電鉄から分社化された同社において、「ミカン下北」の開業半年前からプロジェクトに加わっているのが石塚まゆ氏だ。
「この場所はもともと、盛土の上に京王井の頭線の線路が通っていた場所でした。下北沢駅周辺の再開発によ...

