佐賀駅の高架下に誕生した商業施設「サガハツ」は、かつて人通りの少なかった空間を、地域に根ざした新しい公共空間として姿を変えた。高架下空間という制約を逆手に取り、風通しのよい半屋外空間と、街と連動するグラフィックで、日常と非日常が交わる場所を実現しているプロジェクトだ。空間設計とサイン計画を手がけた大我さやか氏と明石卓巳氏に、「サガハツ」に込めた狙いや広がる可能性について話を聞いた。
佐賀駅の高架下西側に2023年4月オープンした「サガハツ」。その名称には、「佐賀から発信する(さが発)」と「佐賀に初めての魅力を創る(さが初)」という、2つの意味が込められている。駅がまちの“心臓部”となり、地域を動かす拠点となることを目指したプロジェクトだ。
この場所はかつて「えきマチ1丁目佐賀西館」と呼ばれる駅商業施設があった。ただ、市役所やバスターミナルなど主要な機能が集中し、賑わう東口エリアと比べて人通りもまばらな“裏口”のような存在だったという。そんな裏口的な場所が、今や若い世代から家族連れ、観光客まで多くが訪れる、街の新たな顔として注目を集めている。
屋根のある公園のような使い方を目指して
サガハツのプロジェクトが始まったのは2020年の春。佐賀市が掲げる「中心市街地活性化基本計画」の一環として、駅前広場やSAGAアリーナなどと連携する、いわば街のつなぎ目となるよう構想された。空間設計を手がけたのは、建築設計事務所のOpen A。担当した...
