近年、大人が自分のために玩具やホビーを購入する「キダルト消費」が注目を集めている。少子化が進む国内市場において、トレーディングカードゲーム(TCG)市場はその成長を力強く後押ししているカテゴリーのひとつだ。ブシロードでTCGのマーケティングや営業全般を統括するマーケティング部の髙橋仁氏と、『カードファイト!!ヴァンガード』の広報を担当する鈴木大輝氏に、TCG領域における大人ユーザーのリアルな消費実態と、同社が描く市場の未来について聞いた。
日本の玩具市場において、TCG領域は近年めざましい成長を記録している。その中心に位置するブシロードの業績においても、TCG事業の存在感は極めて高い。同社の2026年6月期通期決算資料によると、連結売上高は過去最高となる578億2300万円を達成。そのうちTCG事業の売上高は263億7400万円を占め、全体売上の約45%を叩き出す中核事業となっている。
ブシロード2026年6月期決算資料より作成
同社では主力商品の『ヴァイスシュヴァルツ』が18周年、『カードファイト!!ヴァンガード』が15周年を迎えるなど、長年ファンに愛されるロングセラータイトルがTCG事業の業績を強固に支えている。
一方、世間では「大人世代のホビー需要=キダルト消費」というワードが脚光を浴びているが、ブシロードにとって大人のユーザー像は、後から急増した特別な存在というよりも、事業発足時から当然のように存在する主要ターゲットだった。
同社でTCGのマーケティング、営業を統括している髙橋仁氏は、TCG業界の成り立ちと大人層の根強さについて次のように説明する。
「もともとトレーディングカードゲームという文化自体、海外の『マジック:ザ・ギャザリング』をはじめとするボードゲーム文脈から日本に流入してきた経緯があり、ハイターゲット(大人向け)の趣味として広がった歴史があります。その後、子ども向けタイトルが参入したことでユーザー層の裾野が広がっていきました。当社が最初期に立ち上げた『ヴァイスシュヴァルツ』も、10代後半から30代前半の男性をメインに据えてスタートしています。そのため、カードゲーム市場において大人の存在感が高いこと自体は、私たちにとってごく自然な前提なのです」(髙橋氏)。
一方で、タイトルによってターゲット層の成り立ちは微妙に異なる。『カードファイト!!ヴァンガード』(以下、ヴァンガード)の広報を務める鈴木大輝氏は、自社IPにおけるユーザーの多様性について触れる。
「『ヴァンガード』は15年前にスタートした際、小学生などの低年齢層も強く意識して展開を始めました。当時小学生だったプレイヤーがそのまま成長し...


