創業150年を迎える日比谷花壇が、いま改めて問い直しているのは「花の価値」だ。戦後復興の象徴として始まった同社は、時代ごとの社会課題に向き合いながら、「花とみどりで社会に貢献する」というDNAを育んできた。そんな日比谷花壇が今、注目するのは“ウェルネス”という文脈。「花は心のビタミン」と語る宮島社長が描くのは、装飾でも贈り物でもない、花の“新たな社会的役割”だ。

日比谷花壇
代表取締役社長
宮島浩彰氏
日比谷花壇の使命は花とみどりで社会に貢献すること
──社長になったのは、2000年です。明治から続く日比谷花壇を背負って25年になります。
社長に就任して25年が経ちましたが、当初から一貫して持っているのは「花とみどりを通じて社会の役に立ちたい」ということです。企業としての成長だけでなく、社会に必要とされる存在であり続けるために、花とみどりの価値を広げることは、社長として常に意識してきました。社会貢献を軸に、事業と人材を育てていくという想いは当時から現在まで一貫して変わりません。
なぜ「社会貢献」が日比谷花壇の経営の軸にあるのか。これは、当社がたどってきた歴史やDNAが大きく関係しています。
日比谷花壇の起源は明治に遡ります。創業当時は造園業を営む会社でした。花屋としてのスタイルを確立したのは戦後です。
当時の東京都知事から、戦後復興計画の一環として「平和と復興の象徴となるフラワーショップを、市民の憩いの場である公園に海外の事例にならって作ってほしい」という要請を受けて花屋を出店したのが、フローリストとしてのスタイルを確立したきっかけでした。そしてその際、東京都から指定された店名が「日比谷花壇」だったのです。そこで、社名を「株式会社日比谷花壇」へと変更し、日比谷花壇の歴史が始まっています。
ここまでの話のとおり...