新宿髙島屋では、インバウンド需要の早期回復を目指している。入国制限の緩和後、右肩上がりの勢いで訪日外国人観光客による来店が増加するなか、どのような対応を行っているのか。アフターコロナの訪日客の回復を受け、よりスムーズに買い物を楽しんでもらうための現場の施策を聞いた。

新宿髙島屋の外観。
インバウンド需要の復活などにより、百貨店業界も続々と増収増益を見込むというニュースが報道されている。国内に14店舗の百貨店を展開する髙島屋も2023年2月期(22年3月~23年2月)の連結決算で、インバウンド売上が前年同期比約3倍と大幅に伸長したことを発表している。
また、2023年3月の訪日外国人客数は181万7500人。前年同月比では27.5倍、前月比でも23%の増加となった。単月で150万人を超えたのは2020年1月以来となったようだ。
コロナ前の9割に回復 さらなる伸長を見込む
水際対策が緩和されてから順調にインバウンド需要による成長が見込まれる髙島屋だが、実際の現場ではこの復調をどのように捉えているのか。新宿髙島屋で館全体の集客やプロモーションを担当している鈴木太嘉雄氏は、昨今の伸長は以降も続くと見ている。
「コロナ前と比較すると、インバウンドによる新宿髙島屋の売上は約9割にまで回復してきています。まだ中国本土からのお客さまが完全に戻っていない状態でこの成長率です。2019年当時は中国本土からのお客さまによる売上がインバウンドの売上全体の6~7割を占めていたことを考えると、ここからまだ伸びるのではないかと予測しています」(鈴木氏)。
現在は台湾、香港、韓国などのアジア諸国からのお客さまが多いと鈴木氏。実際に店頭に立っていると欧米からのお客さまも戻ってきたと感じている。「欧米の方々は新宿髙島屋の館内でも増加している傾向にありますが、新宿の街を歩いていても多くお見かけするようになってきましたよね。街を歩く訪日観光客の方々に、新宿髙島屋をショッピングの場として選んでいただけるような施策は、より注力する必要があると考えています」(鈴木氏)。
アフターコロナの売れ筋 「日本製」は依然として人気
インバウンド需要は約3年ぶり。コロナ禍を経て、外国人観光客が購入する商品カテゴリーに変化は...