なぜいま、多くの企業がリアルな体験に投資するのか。森ビルで「チームラボボーダレス」「蜷川実花展」などを主導し、大阪・関西万博では河瀨直美監督によるシグネチャーパビリオン「Dialogue Theater -いのちのあかし-」計画統括ディレクターを務めたART+TECHプロデューサーの杉山央さん。2024年に新領域株式会社を立ち上げ、多様な企業の体験づくりをサポートしているいま、テーマ館展示ディレクターを務める「GREEN ×EXPO 2027」での展望も交え、情報過多の時代に人を引き付ける体験について聞きました。
現代には「異常値」が必要だ
昨今、リアル空間での体験の重要性が改めて見直されています。私が関わるものの中でも、2025年9月にサイバーエージェントのインターネット広告事業と、リアル空間での体験を軸にした新たな広告の形を創出するためのパートナーシップを始動しました。
また同年10月にはカルチュア・コンビニエンス・クラブとアドバイザリー契約を結び、空間プロデュース事業における共創を進めるなど、多様な企業が体験に投資していることを実感しています。多数の大手デベロッパーとも、自社が保有する空間をどう活用するかという議論が続いていますし、さらには日本を代表する誰もが知るIP(知的財産)が体験型施設の制作を進めています。
国家レベルのプロジェクトでいえば、2025年に開催された大阪・関西万博では私もシグネチャーパビリオン「いのちのあかし」の計画統括ディレクターなどを務めましたが、まさに、そこに足を運ぶことでしか得られない、""リアルな空間での体験""が見直される機会となりました。これは2027年に横浜で開催される「GREEN××EXPO 2027」(国際園芸博覧会)にも続いていく大きな流れだと捉えています。
オンライン上でいくらでも消費者との接点が持てるこの現代に、なぜ多くの企業が、リアルな体験に投資をするのか。私の仮説では、この時代だからこそ、突き抜けた「異常値」が必要だからです。消費者は日々、膨大な量の情報に晒されています。オンラインでいくら最適化されたコミュニケ...


