電子書籍では得られない紙の本の魅力のひとつが、手触りや質感だ。ブックジャケットをつけられるのも本ならではの楽しさ。このコーナーではさまざまな質感を持つ竹尾のファインペーパーを使用し、そこに多彩な印刷加工技術を掛け合わせることで、触って感じる新しいブックジャケットを提案していく。
100色を超える豊富な色展開の紙
NTラシャは1949年に誕生。最大で120色(四六判100kgの場合)をラインアップし、定番のファインペーパーとして知られている。コットンリンターパルプが入っており、柔らかな風合いも特徴だ。
今回、この中から「空・朱・あさ緑・にぶ赤鼠」の4色を選び、漫画のコマ割りを思わせるデザインのブックジャケットを制作したのは石田和幸さん(サン・アド)。「NTラシャといえばスタンダードな色紙。でも改めて見ていると、若々しく現代的な色もたくさんある。既存のイメージにはなかったような色を選ぶと魅力を再発見してもらえるのでは、と考えました」。
今回は「文庫版サイズの漫画」をモチーフにデザインを進めた。「僕自身、小説より漫画を読むことが多いんです。表1と表4の2つの面で漫画の原稿のような質感を出せればと、コマ割りや鉛筆書きのラフなどを連想させる形を組み合わせることにしました。実際に自分で手書きしたものを取り込んで使用しています」。
コマの中はUVオフセット印刷の白で二度刷り、枠線や「La!」「Sha~」といったオノマトペの部分は黒の箔押し。部分的に金や銀の箔も加えている。「漫画に限らずですが、物語には何度も読み返すうちに全く異なる印象を受けたり、その時々の気分や状態によって解釈が変わったりする面白さがある。その違いも表現したくて、表1と同じ図を反転・変形させ表4にも用いたデザインになっています。漫画のセリフで使われる書体に寄せて、オノマトペの部分は大文字をローマン体、小文字をゴシック体にしてみました」。ちなみに金・銀の箔で転がる石のモチーフを配置しているが、これは石田さんが好きな漫画『宝石の国』からインスピレーションを受けたもの。「いつかこの漫画の文庫版が出たらぜひこのブックジャケットを使いたいです」(石田さん)。
OUR FAVOURITE SHOP「TILE TALE」フライヤー。
竹尾 青山見本帖「景色を描く紙、あるいは紙が描いた景色」展示作品。
今月使った紙:NTラシャ
1949年の発売以来、ファインペーパーのパイオニアとして時代を超えて愛される「NTラシャ」。コットンリンターパルプを配合し、羅紗(らしゃ:厚手の起毛毛織物)を思わせる緻密で柔らかい肌触りが特徴です。淡色から濃色まで100色を超える豊富な色展開も魅力です。
石田和幸(いしだ・かずゆき)
1993年大阪生まれ。東京造形大学卒業。イヤマデザインを経て、2020年サン・アド入社。グラフィックデザイン・広告を中心とした仕事の傍ら、個人としても活動中。「絵」と「図」の関係性をテーマに、さまざまな質感を伴った平面作品を制作している。
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