“読む前後” までデザインできるか 知的興奮が沸き立つ書店

公開日:2026年3月31日

  • 丸善ジュンク堂書店「magmabooks」

東京・虎ノ門に2025年4月に開業した、丸善ジュンク堂書店が運営する「magmabooks」。2階の入り口から店内に足を運ぶと本棚がまるで森のように入り組んで並び、本の世界に迷い込んだかのような感覚を覚える。目指すは、「未知と出会い、新たな知を生み出す場」。読書の前後までを体験として据え書店の可能性を拡張しようとしている。

2階は「知の森」と題したエリア。過去・現在・未来という大テーマのもと、多様なジャンルの本がところ狭しと並ぶ。キュレーションは丸善ジュンク堂書店の書店員が行っている。

「知の拠点」としての書店をつくる

「magmabooks」があるのは、「虎ノ門ヒルズグラスロック」。森ビルが「グローバルビジネスセンター」として再開発を進めてきた4つの高層タワーを繋ぐ、ちょうど中心地にある建物だ。官民、NPO・NGO、個人など、領域を超えて社会課題解決を目指す拠点として位置付けられている。そんな場に入る書店として求められたのは、“知の拠点” というテーマだった。

「いただいたお題は“知の拠点”となる『未来の本屋』をつくってほしいというものでした」。そう話すのは、丸善ジュンク堂書店の執行役員で「magmabooks」を企画した工藤淳也さん。「それを聞いて、丸善が築いてきた大型書店の伝統や、ジュンク堂が有するデータベース、そして図書館のように整然と本が並べられた店内など、我々が強みとしてきたこととはまた別の、新しい書店の形を探る必要があると感じました」と話す。

知的興奮を受け止める場に

そこで構想段階から声をかけたのが、クリエイティブカンパニーの Konel だ。プロジェクトをリードした出村光世さんは、当初をこう振り返る。「『未来の本屋』を考えるには、未来の世界で本屋を訪れる人の動機や感情、行動、さらに突き詰めれば、より根源的に“なぜ人は読むのか”というと...

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プロダクトから体験へ「本」のある空間をデザインする

出版流通を取り巻く環境が大きく変化するなか、いま書店は「本を売る場所」から、人が集い、思考を深める体験の場へと進化しつつあります。その波は個人発の小規模書店だけでなく、街の大型書店にも広がりつつあります。AIが普及した現在だからこそ、余白を味わい、没入をもたらす「本」はプロダクトであると同時に新たな思考体験を呼び起こす装置となる可能性を秘めているのかもしれません。今回は、新価値創出へと挑戦する書店のプロジェクトに着目。クリエイターの視点も交えながら、「本」のある空間づくりを考えていきます。

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