僕にとってグラフィックデザインの原体験は、レコードジャケットでした。1995年前後、僕が大学生だった頃はCDが主流で、今のような音楽サブスクサービスもない時代。過去の音源はCD化されていないことも珍しくなく、聴いてみたい音楽があればレコードで探すしかありませんでした。洋楽が好きだった僕は、自然とレコードを買い始め、レコード屋を巡るようになりました。
よく通っていたのは、新宿や池袋にあったレコード屋です。西新宿の路地裏には何軒も立ち並び、マンションの一室のような小さなレコード屋もありました。ショップの壁には、レアものやプレミアなレコードがずらっと掛けられています。欲しくても高くて買えないレコードは、ジャケットを眺めながら収録されている曲を想像していました。
そしてその頃、レコードの情報源といえば雑誌でした。レコードを解説する記事には、3センチ四方くらいのレコードジャケットの写真が添えられています。そ...


