AIの「倫理観」は誰が決めるのか?

公開日:2025年12月10日

  • 窪田望

AIが生成する画像に現れる、3本や4本指の手が、「エラー」として修正される状況と、「裂手症」の人々に焦点を当てた映像作品『AIが消し去る声』。制作したのは、AIと「倫理」に問いを立てるアーティストの窪田望さんだ。

AI社会の“暴力性”を描く

生成AIが出力する「手」の画像は、これまで5本指にならないことが多く、ほとんどは「エラー」として修正される。現代美術家の窪田望さんは、この現象に着目し、ドキュメンタリー映像作品『AIが消し去る声』を制作した。生まれつき指の数が3本や4本となる「裂手症」の当事者や家族、医療従事者への取材を通じて浮かび上がらせたのは、AI社会が無自覚に進める「分類」の暴力性だ。

窪田さんは20年以上にわたりWebマーケティングや、AIの社会実装を行う会社を経営し、Web解析や自動運転のセキュリティ研究にも携わってきた。「7年前くらいからAIに関わるようになりました。もともとデータ解析を得意としているのですが、世の中にはWeb以外にも多様なデータが山ほどあると気付いたんです。たとえば1ピクセルあたりのRGBA値が持つ確率や、自動車運転中の...

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