どんなコピーに出会ったかでコピーライターの人生は決まる(のかも)
- 日産自動車/1972年
○C/平井英人
愛されてますか。奥さん
- 全国都道府県及び12指定都市/1999年
○C/滝村泰史
1億使っても、まだ2億
- トヨタ自動車/2000年
○C/山本高史
変われるって、ドキドキ
17年前のその日、僕は失意の中で局長室のソファに腰を沈めていた。目の前にいる眼光鋭い白髪の人物が、最初の上司になる平井英人さんだった。その日は配属式で、僕は希望していたコピーライターにはなれず、セールスプロモーションの部署に配属されたのだった。平井さんは昔有名なコピーライターだったと話に聞いていた。ダンディで女性にモテるらしく、今まで何度か結婚と離婚をしているという噂もあった。その晩、平井さんは僕たち新人を行きつけのクラブに連れていき、コピーライター時代の話をしてくれた。
平井さんの代表作は日産ブルーバードの「愛されてますか。奥さん」だった。僕の生まれる前の作品だ。平井さんは「コピーというのは、私小説なんですよ」と言って悪戯っぽく笑った。