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デザインプロジェクトの現在

未知の可能性を視覚化するデザイン

  • 三澤 遥

ご縁があって、日本デザインセンターの三澤遥さんと仕事をすることになった。以前からお会いしたいと思っていた方──どんなプロセスを経て、あの繊細でたおやかなデザインが生まれてくるのか、話を聞きに行った。

「UENO PLANET」(2016)。多様な生態を携えている「上野動物園」という場のもつエネルギーを1枚の絵の中に集約したプロジェクト。空を飛ぶ鳥の目線で、見慣れた動物園をいつもとは異なる感覚で眺めてもらう試みでもある。/写真:北村圭介

想像を膨らませるデザイン

三澤さんのお話は、淡々とした語り口ながら、内側から湧いてくる静かなエネルギーが詰まっている。一つひとつの仕事に思いを手向け、惜しみなく労を注いできた様子が伝わってくる。

最初に説明してくれたのは、国立科学博物館の企画展「WHO ARE WE 観察と発見の生物学」(2021年7月から、のべ3つの美術館・博物館で開催)の「巡回展キット」のプロジェクトだった。国立科学博物館は膨大な標本コレクションを有しているが、大方は収蔵庫に保管されていて、普段は見られないという。そこでそれらの中から選りすぐった哺乳類の剝製を格納し、展示什器ごと搬出入できる「巡回展キット」をデザインしてほしいという依頼だった。「(哺乳類の)研究者の先生にヒアリングをして、訪れた人が新たな見え方にワクワクできるよう、展示の編集・構成を考えていきました」と三澤さん。

展示空間には実際の剝製のほかに複数の箱型のキットが配され、その随所に引き出しが付されている。「何が入っているのだろう」と期待して引き出しを開けると、剝製に関連する模型や標本、短くまとめた解説などが入っていて、照明が灯ったり映像が流れたりする。「これって何?」「そうだったのか」という驚きがあるが、それだけで終わらない。五感を刺激する仕掛けということもあるのだろう、さまざまに想像が広がっていくのだ。

「観察対象である剝製と私たちの境目が自然と溶け、同じ哺乳類である私たちは何者なのかと、問いが生まれるような展示体験にしたいと考えました」と三澤さん。「好奇心が触発される」「疑問が湧く」「その先を知りたくなる」──そんな気持ちを喚起してくれるデザインだ。

企画展「『WHO ARE WE 観察と発見の生物学』国立科学博物館収蔵庫コレクション|Vol.01 哺乳類」のアートディレクションを担当。国立科学博物館に保管されているものの普段は公開されていない膨大な標本の数々を、日本各地の博物館などで展示することを目的とした巡回展示。/写真:Gottingham

手を動かすことで思考が働く

上野動物園のプロジェクト「UENO PLANET」もユニークだ。元はポスターのデザインの依頼から始まったというが、「以前から生き物の生態やその周辺に興味があり、上野動物園という環境に着目しました」(三澤さん)ということから、より深く伝えられるWebサイトにも...

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