地域とつながり、さまざまな活動をしているコミュニティデザイナーの山崎亮さんの活動が広がっている。福祉、医療、教育と、幅広い分野に及ぶ仕事の考え方を聞いてみた。
”また来てね“と言える病院をつくる
山崎亮さんが手がけている仕事のひとつは、兵庫県明石市の譜久山病院。私立病院とコミュニティデザイナーの関わりとは何なのか、どういう仕事がなされるのか――きっかけは、病院を近隣の駅に移転するにあたって、新しい地域とどうつながるか、何をしていけばいいかという相談だったという。関西エリアで中小の病院は、どちらかというと供給過剰な状態にある。それで、二代目を務める譜久山剛院長が、移転によって訪れる患者さんが変わる、減ってしまうのではないかと懸念した。とともに、長きにわたって地域に愛される病院になれないかと、山崎さんに相談を持ちかけた。そして、病院のコアメンバーと山崎さんをはじめとするstudio-Lのスタッフが話し合いを重ねた。
行き着いたのは、「また来てね」と気楽に言える病院だった。「病院とは病気になって訪れるところという意味を考えると、『また来てね』なんてこと、本来はありえないことなのです」と山崎さんは笑みを浮かべて説明してくれた。「また来てね」とは、診察を受けるために訪れるだけの病院に留まらず、近隣の人が雑談をしに集まってくる場、つまりサロンのような場を作ることだという。例えば …