「デザインは人と人を繋ぐもの」吉村大阪府知事が語る万博で発揮された「デザインの力」

公開日:2025年12月26日

    吉村洋文大阪府知事と、引地耕太さん。X上で生まれた2人の交流をきっかけに、2025年11月、大阪府の行政トップ×クリエイターという異色の対談が実現した。準備段階では逆風に直面しながらも、開会後は「ミャクミャク」や「こみゃく」を筆頭に多くの人々を巻き込んでいく結果となった、今回の万博。その中でデザインが果たした役割を吉村知事はどう捉えていたのか。さらに万博で生まれたデザインや文化を、これからの社会にどう活かしていけるのだろうか。

    「万博会場に行くとなぜワクワクしたのだろう?」

    吉村:正直に言うと、僕は引地さんのお名前よりも「こみゃく」を知ったのが先だったんです。万博会場に入ると、いろいろなところに「ミャクミャク」の変形版(こみゃく)がいるなと。さらに東ゲートと西ゲートにはミャクミャク像。しかもポーズが「いらっしゃいませ」と手を広げた「ワクワク」で、「これをつくった人、誰やろな?」と思っていました。

    引地:僕が大阪・関西万博に関わるようになったのは4年ほど前のことです。まずは「デザインシステム」をつくって、その後会場のドレッシング(装飾)やサウンドスケープのディレクションもさせていただきました。「ミャクミャク」は山下浩平さんがデザインされたものですが、僕らはそれを会場装飾のために受け継いで「ミャクミャク像」をデザインしています。「いらっしゃいませ」は、日本らしいお出迎えをしたいと思い福助人形をモチーフに制作したんです。

    吉村:この像の前で皆が写真を撮ってSNSにアップしていましたよね。西ゲートの「わくわくミャクミャク」もフォトスポットでした。

    引地:そうなんです。「大屋根リング」に触る「リングタッチポーズ」と呼んでいて、まさに真似をしてほしいと思ってつくりました。会場の動線もあるので、写真を撮ったときに一枚絵になるように、置く場所は何度も検証しましたね。

    吉村:この2体のミャクミャク像は、大阪の街でこれからも大切にしていきたかったので、大阪府で落札したんです。「知事、1体でいいですか?」「あかん、2体とも」って(笑)。11月29日に開催したミャクミャク像の「旅立ちセレモニー」には大阪府民の皆さんから約16万7000の応募があって、愛情の深さを改めて感じました。

    引地:僕も吉村さんにご招待いただいて。そこで初めて、吉村さんは僕のことを知っていたんだと驚きました(笑)。

    吉村:ちなみに改めて聞きたいんですが「こみゃく」ってどういう経緯で生まれたんですか?

    引地:デザインシステムのプロポーザルのときには、すでにシマダタモツさんがデザインされたロゴは決まっていて、その一部を切り出したものを「ID」と名付けました。IDが成長して進化して生態系をつくっていく……という提案をしたんです。

    吉村:なるほど、正式名称は「ID」、通称「こみゃく」ですね。フラッグやフェンス、地面や壁など、会場の中...

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    大阪・関西万博デザインシステム大解剖<拡大版>

    「いのち輝く未来社会のデザイン」を掲げ、2025年に開催された大阪・関西万博。閉幕後の今もなお、その象徴的なキャラクター「ミャクミャク」を筆頭に、多くの人々に強い記憶を残しています。その熱狂を高めてきたのが、“開かれたデザイン”をコンセプトとした「EXPO 2025 Design System」の存在。そこから生まれた「こみゃく」の二次創作なども盛んに行われ、多様な人々の参加と共創を促す“生成的オープンデザインシステム”として世の中に広がっていきました。今号では、2025年8月号の本誌特集「デザインシステム大解剖」をさらに拡大。システムの中核を担った引地耕太さんと改めてその全貌を紐解きつつ、本万博にまつわるデザインやキャラクターなどの“ソフトレガシー”が、これからの世の中でどう活かされていくのか、多様な領域の専門家らとともにその可能性を掘り下げます。

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