縦型動画部門審査員が語る “一押し作品”の魅力と課題

公開日:2025年10月14日

    現在、第13回「BOVA」の縦型動画部門の応募を受付中だ。7月に開催された「ブレーンサミット」では同部門の審査員3人が登壇し、受賞作品への視点や評価ポイントが語られた。本誌前号(2025年10月号)でのグランプリ・ゴールド受賞作品の振り返りに続き、今号ではそれぞれの一押しの作品を取り上げ審査会での議論の裏側を掘り下げる。(登場する受賞作品は、全てBOVA公式サイトでご覧いただけます)。

    多様な意見で割れた「マッハじいちゃん」

    明石:グランプリとゴールドの振り返りに続いて、私たち3人の一押し作品を解説していこうと思います。まず私の一押しは、PayPayの「もっともっと多くの人がPayPayを使ってみたくなる縦型動画」という課題への応募作品「都市伝説“マッハじいちゃん”」です。そもそも私が都市伝説のYouTubeが大好きで。なるほど、都市伝説を使うかと思いましたね(笑)。本作には明石ガクト賞を贈りました。

    第12回BOVA縦型動画部門にて明石ガクト賞(審査員個人賞)を受賞した、PayPayの課題への応募作品「都市伝説“マッハじいちゃん”」。代表メンバーは安井沙織さん・小池小巻さん(FIELD MANAGEMENT EXPAND)。

    評価したのは、「縦型動画らしさ」に向き合っている点。こうしたテイストの動画はSNS上にたくさんありますが、ひとつの戦略として「プラットフォームに馴染ませながらも、語る内容の工夫で、最終的には違和感を醸し出す」ことが大事かなと思っています。本作は新聞やフォントなどがあえてダサくデザインされていて、わりと雑多な印象から始まります。プラットフォームへの馴染み方を意識したクラフトの工夫が伝わってきました。でもちゃんと最後のPayPayがプレイスメントされるシーンだけ、異様に綺麗なんです(笑)。動画が見られる場を意識しつつ、広告としてもきちんとクライアントに向き合っている点を含めて評価しました。

    一方で、上位入賞に至らなかった理由もありまして。「そもそも“おじいちゃんの会計が遅い”というのは広告としていかがなものか」など指摘が入りました(笑)。

    市川:本作は、CM企画の正攻法と逆をいっているのがなるほどと思いましたね。通常は「普段はすごく...

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