ふたつの時代に共通する
生活文化の美意識
ウィーン・スタイル
ビーダーマイヤーと世紀末
生活のデザイン、ウィーン・劇場都市便り
デザイン史におけるビーダーマイヤー時代とは、18世紀末から19世紀半ばにかけてのウィーンの生活文化と造形の展開を意味する。抑圧された政治状況のもとで家庭の幸福や個人の内面といった価値が重視されるようになり、実用性・簡素さ・誠実さを備えた手工芸が発展した。
一方、19世紀から20世紀初頭の世紀転換期におけるウィーンでは、前衛的な芸術家たちがビーダーマイヤー様式に理想を見出し、独自のモダンスタイル「ウィーン・スタイル」を創出した。
本展では、両時代のデザインや工芸作品はもちろん、グスタフ・クリムトの繊細な素描作品や、当時際立つ存在だった女性パトロンや...
