総合コンサルティングファームのベイカレントでは現在、インタラクティブGr.で働くクリエイターやプロデューサー、ストラテジストを募集している。既に広告業界出身者らが多数活躍し、「クリエイティブ領域に強みを持つコンサルタント」としてキャリアアップを目指す人材の採用を強化している。
ベイカレント インタラクティブGr. リード クリエイティブディレクター 田中寿さん。
今年度中に200人規模の組織へ
ベイカレントは1998年に創業した日本発の総合コンサルティングファーム。グループ全体で7551人が所属している(2026年4月現在)。戦略からオペレーション、テクノロジーまで手がけ、近年はAIの活用などDX分野の支援に定評がある。外資ではなく“国産”のコンサルティング企業だからこそ、日本企業の組織や文化を深く理解した提案が可能である点も強みだ。
「産業やテーマに制限なくコンサルタントをプロジェクトにアサインする、“ワンプール制”がベイカレントの特長。さらにコンサルタントが受け持つ各産業の案件に横断して関わる機能別の組織があり、そのひとつがブランディングやプロモーション領域で高度な専門性を発揮する“インタラクティブGr.”。クリエイターが多数活躍しています」と説明するのは、同Gr.を率いるクリエイティブディレクターの田中寿さんだ。
インタラクティブGr.は2026年1月に田中さんが中心となり立ち上げた新組織で、コンサルティングの「実現力」、新しい価値をつくるクリエイティブの「創造力」、そしてそれを裏付けるデータの「洞察力」を掛け合わせ、クライアントのビジネス課題に伴走する体制をとっている。職種はプロジェクト全体をマネジメントする統合プロデューサー、ストラテジックプランナー、クリエイティブディレクター、アートディレクター、データストラテジストなど。70人ほどが所属しており(2026年6月現在)、広告業界の出身者のほか、コンサルティング業界の経験者らも活躍中だ。2027年3月までに、200人規模まで人員の拡大を目指し採用を強化している。
5月に大阪・梅田エリアで展開したベイカレントの採用広告。森香澄が出演し、関西オフィスでの中途採用強化のため「募集中」というメッセージをストレートに打ち出している。一連の広告展開はインタラクティブGr.が企画制作を手がけた。
広告業界から転職、その背景とは?
田中さんは大手広告会社出身で、ベイカレントには2025年1月に入社した。媒体局や営業を経てクリエイティブ局へ移り、カンヌライオンズ金賞のほか国内外の広告賞を多数受賞。グループ会社の執行役員も務めた。クリエイターとしてキャリアを積んできたが、ベイカレントへの入社時はあくまでコンサルタントとしての転職だった。「40代半ばに差しかかり、プラスワンで何らかの挑戦ができるフィールドが欲しいと考えていました。面接の段階で、ゆくゆくはクリエイターとしての経験や知見を活かせる貢献もできたら、という個人的な構想は軽く話していましたが、最初はコンサルタントとして働きたかった。まずはコンサル業界の仕事や流儀を現場で学びたかったからです」(田中さん)。
入社後、田中さんは自動車メーカーの新規事業のプロジェクトに参画しコンセプト立案を担当。クライアントの技術者らと接する中で、「このコンセプトを表現するイメージムービーを制作しませんか」という提案が自然と生まれた。完成後にクライアントの展示会などで流したところ、そのムービーが経営者への事業説明に一役買うことになる。「自分の経験とコンサルの仕事を融合すると新たな価値提供の可能性がある、と実感できた経験でした。そういった場面が重なり、マーケティング領域の専門部隊を創設しようという話が持ち上がってインタラクティブGr.が生まれたんです」。
インタラクティブGr.が始動する以前にも、田中さんは社内でクリエイティブに関する知見を深める活動を進めてきた。ベイカレントでは部署を横断して有志で学ぶ“ワーキンググループ”という制度があり、クリエイティブを学ぶグループには500人超が参加している。「広告会社時代の先輩や同僚を招いた講義や、コピーライティングの実習をしたことも。社内のコンサルタントも実はクリエイティブに興味があって、コピーが書ける適性がある人もいると実感しました。クリエイティブはコンサルのスキルとは相反すると捉えられがちですが、僕は対等にあるべきだと考えています。この活動は双方のカルチャーを融合させることも狙いのひとつです」(田中さん)。
クリエイターもコンサルタント
インタラクティブGr.では現在、どのような人材を求めているのだろうか。「クリエイターとしての経験を活かしつつも右脳と左脳をフルで駆使したい人、今の仕事にプラスワンの価値が欲しいというクリエイターやプランナーが多く集まっています。“営業やコンサルの経験しかないがクリエイティブの見地から仕事がしてみたい”という人も歓迎です」と田中さんは説明する。
なお、メンバーは肩書としてクリエイティブディレクターやアートディレクターなどと名乗るが、“コンサルティング会社のクリエイティブ組織での採用”ではない。
“クリエイティブの専門的な知見を持ったコンサルタントとしての採用”となることがポイントだ。「クリエイターであってもベースとなるスキルは社内の他のコンサルタントと共通で、待遇も同等となります。そのための研修も用意していますし、業界未経験でもゆくゆくは、たとえば“コンサルタントと同等のデータ分析ができる”スキルを持ったクリエイターになれたら最強だと思います」(田中さん)。
もうひとつ、コンサルティング会社では提案先となるクライアントの幅が広がり、より上流から多様なプロジェクトに関わることができるという点も大きい。経営層や事業の上流にある経営企画、事業開発部門などの課題に開発・戦略構築の段階からコミットできる。
インタラクティブGr.では既に具体的なプロジェクトが動いており、自動車業界における新規事業アイデア開発や、銀行業界におけるAI先進企業としての認知獲得に向けた社内外プロモーション、新規事業の立案、保険業界での事業企画やUI/UX改善、インフラ企業での社内DX推進プロジェクトなどが進行中だ。それぞれ課題や規模に応じてインタラクティブGr.内でチームを組み、基本的にクライアント企業に常駐する形で支援を実施する。
インタラクティブGr.の取り組みを通じて、田中さんは「クリエイターでもありコンサルタントでもある、両者が融合した新しい職種をつくっていきたい」と考えている。「僕自身がクリエイティブの力を信じているし、これは社会全体でクリエイターの地位や評価、待遇を向上させる挑戦でもあると考えています。クリエイター自身も一歩踏み込んで従来の職域から拡張していく努力が必要ですが、今よりもプラスワンのスキルを身につけたい、キャリアにおける突破口が欲しいという人に一人でも多く出会えたら嬉しいですね」(田中さん)。
麻布台ヒルズにある、ベイカレント本社のオフィス(受付、執務エリア)。
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