生成し続けるものだけが可能性をもつ
新しさとは歴史に対する裏切りである。デザインシステムの発明、OPEN という態度、市民の巻き込み方など。引地耕太は今年の万博でパブリックイベントの歴史を鮮やかに裏切ってみせた。
それが説得力を持ったのは「いのち」というテーマが初期から最後まで一貫していたからだと思われる。プロジェクト・テーマ「いのち輝く未来社会のデザイン」は、コピーとしてはややお役所的だけれど、埋め込まれていた「いのちとは何か」という問いが全体を通底する思想的バックボーンになっていた。スローガンを受けてシマダタモツによるセル(細胞)をモチーフにしたロゴマーク、それを完璧に引き受けて生命の本質のひとつである「増殖」というモチーフを引地が「こみゃく」というデザインシステム、つまり常に動き変化し続ける運動体に結実させた。
ブランクーシが言っている。「アートにおいても人生においても、いちばん重要なのは生命力である」。完成形ではなく生成のポテンシャルを持っている状態。そのダイナミズムのことを生命力と言っているのだ。完成より生成過程、未完成であ...


