創造性を引き出す場をつくるにはどんな空間や仕組みが必要なのだろうか。「カルチャー」を軸に企業づくりをサポートするKESIKIの石川俊祐さんが、三菱電機との共創プロジェクト「Serendie Street Yokohama」での実践や海外視察などを通じた実例をもとに押さえるべきポイントと具体的なステップを解説する。
企業にカルチャーが必要な理由
同じ人と同じ場所で働き続けていると、どうしても発想は固定化されてしまいます。新しい挑戦が必要だと頭ではわかっていても、組織や制度というフレームに縛られている限り、一人で変化を起こすのは難しい。だからこそ、企業のカルチャーを意識的にアップデートしていく必要があります。企業におけるカルチャーとは、単なる雰囲気や風土ではなく「価値を共有し、創造を循環させるOS(オペレーティングシステム)」です。
重要なのは、点での活動ではなく、「創造的なプロセス」を組織に組み込むことです。これまでと違った話し方、働き方、評価軸、事業の生み出し方。川の流れを変えなければ、行き着く先も変わりません。ただ、既存の流れを無理に断ち切るのではなく、新しい「支流」をつくるイメージが大切。最初は小さな取り組みでも、やがてそれが広がり、本流を変えていく。それがカルチャーOSを変革していく現実的なアプローチです。
今回は、KESIKIが3年ほど前から三菱電機のDXイノベーションセンターのチームと取り組んだイノベーションハブ「Serendie Street Yokohama」の事例も挟みながら、カルチャー変革を起こす場づくりについてお伝えできればと思います。
価値と創造を育むカルチャーOSの要素
企業のカルチャー OS がデザインされていれば、戦略も制度も、個人の才能も有機的に結び付き、組織は持続的に進化していきます。その要素を、ここでは3つに整理します。
1. 価値基準としての「自分たちらしさ」の言語化
カルチャー OS の根幹は、自分たちの価...


