クリエイションの最前線を担っている、クリエイティブエージェンシーや制作会社。そのトップや責任者に2026年の方針や戦略を聞きました。映像制作はもちろん、AIなどテクノロジーへの対応やビジネス課題の解決、体験のデザイン設計まで――。各社が見据える2026年はいかに。
dentsu Japan
並河 進
チーフ・AI・オフィサー/エグゼクティブ・クリエイティブディレクター
人とAIがともに高め合う、
AI時代のクリエイティブへ
AI時代の新しいクリエイティブで顧客のビジネスの成長に貢献することが、dentsu Japan(国内電通グループ)の2026年のひとつの大きなテーマです。私たちは「人とAIがともに高め合う」をビジョンとして掲げています。それは単にAIを利活用することに留まりません。人とAIがともに生きる時代のクリエイティブの再設計に取り組むと同時に、AI時代だからこそ一層重要となる「人の力」も深く追求していきます。
創造力の向上から、
ハイパーパーソナライゼーションまで
AI時代のクリエイティブは、AIによって創造力をさらに高める領域と、大量のコンテンツの自動生成の領域があり、この2つが混同して語られがちです。dentsu Japanは、その両方の力を高めていきたいと考えています。前者は、人だけでもAIだけでも辿り着けない革新的なアイデアや表現をかたちにしていくこと。後者は、一人ひとりの人に対するきめ細やかな体験を提供していくこと。その両方を磨いていきます。
AIに、クリエイターの魂を
2026年、全企業のマーケティング部署内で大きな変化が起きるはずです。AIエージェントでマーケティングの全プロセスを変革し、ビジネスを成長させる挑戦です。AIエージェントはシステムだけで完成せず、そこにメソッドや暗黙知、魂を込められるのは優れたクリエイターです。dentsu Japan では、クリエイターの知見を学習させたAIのSaaSの提供を開始していますし、2026年はさらに加速させていきます。
博報堂
松井美樹
常務執行役員
データに翻弄されるクリエイターから、
データを乗りこなすサーファーへ
プラットフォーマーとの連携を強みにできるクリエイターが人気です。彼らは発話からインサイトを嗅ぎ取り、自らの体験と掛け合わせ、応援の連鎖を生み出せる存在。強制視聴が快感をもたらしにくい時代、生活者の前のめりな気持ちを引き出せる“サーフィン・クリエイター”を増やしたいです。炎上が生まれやすい時代、倒れない方向修正力も大切ですね。
“得意先と向き合う”クリエイターから
“得意先と進化する”カタリストへ
AIの寄り添い力が半端なく高まっていくこれからは、得意先の今の事業を理解して向き合うだけでは、クライアントはクリエイターの存在意義を見出しにくくなります。求められるのは予想をちょっと裏切り、非連続なミライへリードできる存在。クライアントの中に飛び込み、事業にちょっとした変革を生み出すカタリストとなれる人を育てていかないといけません。
“籠もる”クリエイターから、
“繋がる”ファシリテーターへ
私自身、いちクリエイターとして、ひとり悶々と籠もり徹夜で案をひねり出したものでした。今は...

