今回のカンヌライオンズにおいてSDGs部門で審査委員長を務めたのが佐藤カズーさんだ。数ある「ソーシャルグッド系」の部門とSDGs部門の決定的な違いはどこにあるのか。社会の仕組みを変える本質的なクリエイティビティに光を当てた白熱の審査プロセスを振り返ってもらった。
部門独自の4つのクライテリア
今回、僕がSustainable Development Goals(SDGs)部門の審査委員長を引き受けるにあたって一番考えたのが「SDGs部門だからこその存在意義」です。カンヌにはソーシャルグッド系の部門が多数ある中で、この部門独自のクライテリア(判断基準)をどう設定するかが非常に重要だと感じていました。
改めて考えると、SDGs部門って「2030年」という明確なゴールが設定されている唯一の部門なんですよね。国連の2025年のレポートによると現在の達成率は約18%(順調に進んでいるターゲットの割合)。一時的に盛り上がって終わる単発のキャンペーンの積み上げでは、社会は本質的には変わっていきません。ショートリスト以上を決める事前のオンライン審査の冒頭で審査員の皆に話したのは「社会や産業のシステムそのものを変え、それが永続的に続くポテンシャルがあるものを評価しよう」ということでした。
具体的には4つの基準を設けました。ひとつ目は「アイデアの新規性(イノベーション)」。2つ目は実際の行動やビジネスに定量的な変化をもたらしたかという「測定可能なインパクト(メジャラブルインパクト)」。ちなみにカンヌ事務局から提示される審査基準の配点でも、今年から「インパクト」が50%を占めるようになりました。3つ目は単発の話題化を超えて仕組みを変えたかという「システムチェンジ」。そして最後が、他の国や地域でも真似できるかという「再現可能性(レプリカブル)」です。この4つをくぐり抜けるのは相当ハードなのですが、ショートリストの段階からかなり厳しく見ていきました。
さらにエントリーシートで制作過程に...


