デザインシステムをベースに、引地耕太さんがクリエイティブディレクションを担った会場装飾の取り組み「EXPO WORLDs」。万博の開幕と同時に世に公開されたこのプロジェクトを通じて、多様な共創が加速し、世の中のムードも一気にポジティブに変化していった。制作に携わったさまざまなクリエイターの声と共にプロジェクトがたどった過程を、引地さんが自ら振り返る。
開幕に合わせて公開された、「OPEN DESIGN 2025『EXPO WORLDs』」のコンセプトムービー「世界と世界が、つくる世界。」。
デザインシステムを
「文化的・社会的ムーブメント」に拡張
藤本壮介さんにお声がけいただき、デザインシステムの完成後少しの期間を挟み、「万博に帰ってくる」形で担当することになった、会場装飾の取り組み「EXPO WORLDs」。クリエイティブディレクターを務めるにあたって一番大切にしたのは、自ら3年前に設計したデザインシステムを、単に展開するだけに留まらず、「デザインポリシー」の5つ目に示した「参加と共創をうながすプラットフォームとしての『開かれたデザイン』」というコンセプトを核に据え、「文化的・社会的ムーブメント」としてより拡張した形で空間や社会に実装することでした。
「EXPO WORLDs」は、デザインシステムの一連の広がりを視覚と聴覚を融合して表現した、リアルな体験の場としての象徴です。プロジェクトの集大成と据えつつ、オンラインの「こみゃく」二次創作などと連動して、有機的にデジタルとリアル空間を循環するような体験へと実装していきました。
そのうえで大切にしたのは、「人間中心から、生命中心の未来へ」という思想です。近代的な「人間中心」のデザインの限界を見つめ直し、人間だけでなく、自然や動物、テクノロジーまでも含めた「すべてのいのち」と共に生き、共に創る視点です。
プロジェクト名の「WORLD “s”」という複数形は、まさにこの世界観を体現しています。異なる「いのち」や「世界たち」が分断を超えて響き合いながら、リアル空間とデジタル空間を超えて「いのちの生態系」を共につくる――それこそが、今回のクリエイティブディレクションにおいて何よりも大切にしたことでした。
「開かれたデザイン」を体現した制作過程
コンセプトを空間に実装していく際、チームづくりにおいて最も重視したのは、プロジェクトそのものが「開かれたデザイン」を実践する場となることでした。参加と共創を掲げるならば、運営体制そのものもまた、トップダウン型ではなく、思想と関係性に共鳴した人々が自律的に繋がり、動いていくネットワーク型のチームであるべきです。
もちろん、僕自身はクリエイティブディレクターとしてプロジェクト全体をリードしましたが、むしろ大切にしていたのは、それぞれの企画がそれぞれのプランナーやデザイナーによって主体的に進められるチーム構造をつくることでした。
遊び心あふれる会場内の案内サイン「CoMYAKU Sign」。万博の世界観の中で自由に姿を変えたこみゃくたちが、SNSで大きな話題に。アートディレクターの浜名信次さんが細部までこだわってそれぞれのデザインを手がけた。
僕の役割は、たとえるなら、...

