万博の会期が終わってなお、SNS を中心にファンの熱狂は冷めやらず、さまざまな分野の専門家が考察を続けている「EXPO 2025 Design System」。これまでの国家的な催事を見渡しても、デザインシステムそのものに人が愛着を抱き、求心力を有した例は、ほとんどなかっただろう。今回のデザインシステムのユニークネスはどこにあったのか、そしてそれはどんな未来へと繋がりうるのだろうか。
草の根的な盛り上がりから生まれた「期待外れの成功」
今回の大阪・関⻄万博は、多くの“リベラル知識人” が「成功しないだろう」と予測するなかで、結果として大きな盛り上がりを見せました。国家プロジェクトに対して「成功しない」に賭け、それで “勝ち” 続けてきた人たちが、急に “負けた” わけです。そのことに僕自身、心底驚きました。
今回の万博は「SNS 万博」であったとよく言われますが、それを象徴するのがキャラクターの「ミャクミャク」ですね。そこに引地さんがつくった「こみゃく」のデザインシステムものっかり、一般の人たちの間で二次創作が盛んに行われ、草の根的に力を持ち始めました。いわば、「期待外れの成功」。従来の国家プロジェクトにおける定石であった「大手広告会社が全体を設計する」という手法は、今回は目立たなかった。新しい形の市民活動が、万博の盛り上がりをけん引していきました。
丹下健三と岡本太郎の役割を担った存在
未来からこの万博を振り返った時、まず語られるのは「大屋根リング」と「ミャクミャク」でしょう。1970 年の大阪万...


