2001年にロンドンで設立されたAudio Networkは、広告・放送・映画など世界のクリエイティブ業界に向けて、高品質なプロダクションミュージックとライセンスサービスを提供する独立系企業。30万曲を超える自社カタログを展開し、日本市場での取り組みもさらに強化している。
(左から)Audio Network Japan Music Licensing Manager 佐藤史子さん、Audio Network Head of Japan 野村七絵さん、Audio Network General manager UK,Nordics& Japan Rebecca Hodges さん、Audio Network Japan Marketing Coordinator 河村奈緒さん。
音楽をクリエイティブ戦略の上流へ
映像の印象を決めるのは、画だけではない。数秒のイントロやコード、声やリズムの質感が、ブランド認知やキャンペーン想起に大きく作用する。音楽ライブラリサービスを提供するAudio Networkは、広告音楽を「完成後に添える素材」ではなく、企画初期からブランド体験を設計するためのクリエイティブ資産と位置付けている。
Andrew Sunnucks氏とRobert Hurst氏によって2001年に設立された同社は、映像制作における音楽権利処理の煩雑さを解消し、制作チームが企画や演出に集中できるサービス提供に尽力してきた。中でも創業当時から重視してきたのは、音楽の品質に一切妥協しないこと。
UK, Nordics & Japanのゼネラルマネージャーを務めるRebecca Hodgesさんは「本物のミュージシャンや作曲家による演奏・録音」に投資してきた点を強調する。1000人以上の作曲家、アーティスト、プロデューサーと連携し、Abbey Road StudiosやAIR Studios( いずれもイギリス)、Synchron Stage(オーストリア)といった世界有数のスタジオで録音を行うなどこだわりを見せる。保有楽曲は30万曲以上。800超のサブジャンルを網羅し、オーケストラによるスコア音楽から、ドキュメンタリー向けの楽曲、ポップス、エレクトロニック、ワールドミュージックまで幅広い。
楽曲は世界180以上の国と地域で利用され、テレビ番組や映画、広告キャンペーン、ブランデッドコンテンツ、SNS動画、企業映像、トレイラー、ポッドキャスト、ライブイベントなど用途は多岐にわたる。単なる音楽ライブラリではなく、プロデュースや音楽制作、権利管理、ライセンス、クリエイティブサポートまでを含む、総合的な音楽パートナーとして機能する点が特徴だ。
権利処理と制作スピードの両立
日本法人の代表を務める野村七絵さんは「日本は、世界でも有数の規模と影響力を持つ広告市場であり、クリエイティブ市場のひとつ」と語る。日本のストーリーテリングやものづくりへのこだわり、細部まで丁寧につくり込む文化は世界的に見ても独自性が高い。Audio Networkは日本で10年以上活動してきたが、海外の成功モデルをそのまま当てはめるのではなく、日本独特の制作フローや権利処理の実務を理解しながら関係を築いてきた。
Audio Networkの制作哲学を象徴するのが、「Music with Intent」という考え方だ。既存の曲を大量に並べるのではなく、文化的な変化、新しい音楽ジャンル、視聴者の行動、クリエイティブトレンドを踏まえながら、映像やブランドが伝えたい世界観や演出意図に応える音楽を企画・制作する。つまりブランドがどの接点で、どのような感情や世界観を立ち上げるかを設計できる。
制作現場にとって大きいのは、ライセンス面の確実性が同時に担保されることだ。世界的なスタジオでの録音、生演奏へのこだわり、演奏技術の高さは、映像表現に厚みを与える。一方で、テレビ、SNS、動画配信サービス、海外展開などキャンペーンが複数媒体・複数地域にまたがる現在、権利管理の負担は増している。同社はその複雑さをシンプルにし、制作チームがストーリー開発や演出に集中できる環境を提供している。
オリジナルのCM楽曲制作とのすみ分けも重要な論点だ。野村さんは「両者を対立するものとは捉えていない」と話す。「ブランドやキャンペーンのためだけに制作されるオリジナル楽曲は、独自性を担保する有効な手段であり続けるでしょう。一方で、制作本数の増加、納期の短縮、複数プラットフォームへの展開が進むなか、高品質な楽曲へ即座にアクセスでき、企画初期から複数のトーンを比較検討できるライブラリ音楽の価値は高まっています」。
最適な楽曲と出会える機能も充実
最近の日本企業での活用例として、国内大手飲料メーカーの全国規模の広告キャンペーンがある。このケースで求められたのは、テレビCMでありながら映画の予告編のようなスケール感とシネマティックな世界観だった。採用された楽曲は、クリエイティブブリーフで求められた演出意図や世界観と高い親和性を持ち、クリエイティブの方向性を支える役割を果たした。そのうえで、テレビ放送だけでなく、デジタル展開や海外での活用にも対応できるライセンス環境が、採用を後押しした。
音楽ライブラリサービス「Audio Network」。
30万曲以上の中から最適な1曲を見つけるため、検索機能も実務利用を前提に設計されている。自然言語検索や類似楽曲検索、参考楽曲とのマッチング、歌詞検索に加え、ジャンル、ムード、楽器編成、テンポ、ボーカル有無、エネルギー感といった切り口から絞り込むことができる。さらにAIを活用した検索は、日本語の長文プロンプト検索にも対応している。多くの楽曲にはショートバージョン、別編集版などが用意され、尺違いや媒体別素材への展開もしやすい。「テクノロジーはクリエイティブプロセスの摩擦を減らし、クリエイターがより創造的な判断に集中するための手段であるべき」とHodgesさんは語る。検索機能に加え、音楽の専門家やライセンス担当者が、選曲からライセンス取得までを支援する体制も整えている。
利用は無料のアカウント登録から始められる。アカウント承認後は、カタログ検索やオンライン試聴に加え、楽曲をダウンロードして編集や仮シンクを行いながら、企画検討やプレゼンにも活用できる。ここまでは無料で利用可能だ。実際に楽曲の採用が決まった段階で、1曲単位、キャンペーン単位、サブスクリプション契約など、用途・媒体・利用地域に応じたライセンスについて日本チームに相談できる。「Audio Networkが目指すのは単なる権利処理サービスではなく、企画段階から納品まで伴走する音楽パートナー。ぜひ実制作の場面で試してみていただきたいですね」(野村さん)。
お問い合わせ
Audio Network Japan 株式会社
〒150-0045 東京都渋谷区神泉町20-21 クロスシー渋谷神泉ビル
メールアドレス:ongaku@audionetwork.com
URL:https://jp.audionetwork.com/

