万博の会期が終わってなお、SNS を中心にファンの熱狂は冷めやらず、さまざまな分野の専門家が考察を続けている「EXPO 2025 Design System」。これまでの国家的な催事を見渡しても、デザインシステムそのものに人が愛着を抱き、求心力を有した例は、ほとんどなかっただろう。今回のデザインシステムのユニークネスはどこにあったのか、そしてそれはどんな未来へと繋がりうるのだろうか。
Co-MYAKU Sign でリアルな世界に命が解き放たれた
振り返ると、「Co-MYAKU Sign」が会場に実装されるまでのプロセスが非常に印象深いです。2022年に引地耕太さんが考案した「EXPO 2025 Design System」が公開されてから、その中のデザインエレメントがWeb サイトや電車のラッピングなどに展開されていきました。その展開自体は素晴らしかったのですが、一方で、どこか“顔の見えない”感覚もあったんです。そもそもデザインシステムとは、さまざまな場での使用を想定して汎用性高くつくられるもの。どうしてもドライでクールなものになりがちです。
それと並行して、僕が会場デザインプロデューサーとして「大屋根リング」の建築を進めるなかで、「建築だけがあっても会場は成り立たない」という当たり前の事実に、遅ればせながら気付く瞬間がありました。会場には建築以外の“何か”が必要だ。でも、それはいったい何なのか――。その問いを抱えたまま相談した相手が、大阪の制作会社である株式会社人間の花岡さんでした。
花岡さんは、企画・広報・デザインといった領域を自在に横断し、独自のネットワークを持つ“なんでもできる人”。ランドスケープデザインを担当していた忽那裕樹さん(会場デザインプロデューサー補佐)から「変わった面白い人がいる」と紹介されて出会いました。まずはその漠然とした課題を、そのまま丸ごと投げてみたんです。すると花岡さんが、引地さんを巻き込んでくれた。デザインシステムの公開から少し経ってひと段落していたので、引...


