優れたアイデアは、どんなインプットを起点に、どのような思考をたどって形になるのか。またAIの浸透によってそのプロセスはどう変化しているのか。第一線で活躍を続けるクリエイターたちに、自身のプロジェクトを手がかりに「頭の中」を語ってもらった。
Q1.ご自身が手がけた企画やプロジェクトを挙げ、発想の起点になったインプットや、企画を形にしていく思考のプロセスを教えてください。
Q2.AIが浸透する中で、インプットやアウトプットの方法はどのように変わってきていますか。
Q3.これからのクリエイターにはどんな役割が求められ、どんなインプット/アウトプットが重要になると思いますか。
A1.「過去と繋がれる体験」づくり
マガジンハウス『BRUTUS』「もしもし、ブルータス。」
僕の父親は雑誌『BRUTUS』のコレクターでした。そこに載っている文化は僕にとって強い憧れで、多くの知らない世界の扉を開いてくれたように思います。神保町の古本屋巡りも大好きです。自分が生まれる前の知らない価値観やかっこよさと出会えるのは、過去の誰かと自分が対話している気分になれて刺激をもらえます。ですが、そんなカルチャーの蓄積は時代と共にブラックボックス化していると感じます。特にAIが台頭する現代では「インターネットにない情報」は存在しなかったことと同義ともいえます。もっと皆が気軽に過去と繋がれる体験がつくれないか。そんな思いがずっとありました。
機会は突然訪れます。GoogleのAI「Gemini」のCDとして、新しい試みをして自主提案をしたい、とぼんやり考え始めていたある日。幸運にも『BRUTUS』の編集長とお会いできる機会がありました。そのときに、編集長がこんなことをおっしゃいました。「僕らの雑誌のつくり方は、あらかじめターゲットを決めるのではなく、雑誌そのものが人格になることを目指している。つまり、BRUTUSという人格をつくっているんです」と。そのとき、びびっ...


