アートディレクター養成講座 25期卒業制作優秀作品を発表

公開日:2025年5月30日

アートディレクションを多様な視点から学ぶ、宣伝会議「アートディレクター養成講座(ARTS)」。今回で25期を迎えた本講座では、半年以上にわたり講義が行われ、受講生が卒業制作に取り組んだ。「任意のクライアントを設定し、ブランディングデザインをしてください。制作するアイテムは自分で考えてください」という課題を出題。受講生は、実在の企業、ブランド、店舗などを題材とし制作、柿木原政広さん(10inc.)、河合雄流さん(電通)が講評を行った。受講生がクライアントに自主提案をするかのように、企画とクリエイティブをつくり上げ、プレゼンを実施。ここではその中から選ばれた優秀作8作を紹介する。

柿木原政広さん(10inc.)

河合雄流さん(電通)

柿木原クラス 金賞 石井 澪
(Clear)

企画意図

ペットの高齢化が進む一方で、私自身も実家の愛犬がもうすぐ20歳を迎えようとしており、介護に関する情報や支援の不足を実感することが増えました。そこで、飼い主がペットの日々の体調を記録し、獣医師やメーカー、ペットコミュニティと情報を共有できるアプリ「きみと」を企画しました。家族に迎えた日から使うことで記録が蓄積し、ペットとの穏やかな日々をそっと支えるようなアプリです。かけがえのない時間が少しでも長く続くように̶̶そんな願いを込めて、ビジュアルや言葉にもやさしさを込めました。

ARTSを受けて

事業会社でデザイナーとして働く中で、さらにステップアップしたいという思いから、実務以外でのインプットを求めて受講しました。第一線で活躍されている講師の方々が、日々どのように思考し、どこに視点を置いてアウトプットしているのか、そのプロセスに触れる毎週の講義は、とても刺激的で学びの連続でした。この半年間で得た気付きや学びを、今後の制作にしっかり活かしていきたいと思います。本当にありがとうございました。

河合クラス 金賞 笹谷啓太

企画意図

近年、全国の水道インフラの老朽化が進んでいる一方で、水道料金収入が落ち、水道事業の採算が悪化しています。日本の水は、世界的に見ても安全でかつ、軟水であることが特徴です。そこで、浄水器の定期交換を利用し、水道水がおいしいと感じられる流域のブランディングを行いました。認知拡大のために検針票広告にブランドを掲載。浄水器の購入者には、居住流域のパッケージの浄水カートリッジと、流域の情報誌が定期的に届きます。水道水に付加価値を与え、水を飲む、使うことを促進し、水道事業の増益と品質イメージ向上を目指しています。

ARTSを受けて

講師の方々それぞれが、異なるやり方でアートディレクションを行っているため、毎回が面白く、半年間の受講があっという間に感じました。参考になった話が多くあった一方で、少し実践が難しい話もありました。自分なりのクリエイションの軸をつくっていくことが大切であると感じました。課題制作もさまざまな背景を持つ受講生のアウトプットを聞いて、自社では得られない刺激を受けました。学んだことを日々の業務や活動に活かしていきたいです。

柿木原クラス 銀賞 舩田彩加

企画意図

好きなところでカットして壁に貼れる、テープ型のカレンダーを制作しました。月に合わせてカスタマイズできるので、買いそびれを気にせず「いつでも使い始められること」と、一般的にかさばりやすいカレンダーが缶に収まる「コンパクトさ」がこの製品の強みです。ギフトとしてもぴったりなおもちゃ箱のような楽しいデザインと、インテリアのアクセントになるカラーリングを意識しました。便利なデジタルツールを使う人が増えている今だからこそ、単なる機能を超えた“貼る楽しさ”や“暮らしを彩る豊かさ”を提案できる、新しい形のプロダクトを目指しています。

ARTSを受けて

フリーランスとして活動を始めたことをきっかけに、改めてさまざまなアートディレクターの考え方や仕事の進め方を学びたいと思い受講しました。講義内容や講師の方々の熱量は、本やネットから得られるもの以上に濃密で、毎週とても勉強になりました。さまざまな背景を持つ受講生の方々が、日々の業務と並行して課題に真剣に取り組む姿に刺激を受けて、私自身も目の前のことに誠実に向き合い続けようという気持ちが強くなりました。

河合クラス 銀賞 齊藤 洵

企画意図

ある日、経験者・未経験者混合でサッカーをした際、未経験の方が困っている様子がうかがえました。その気はなくとも、未経験の方を嫌な気持ちにさせる行為に自分は加担しているのでは?と思ったことが制作の出発点です。具体的な内容としては経験者に大きなハンデをつけたり、未経験者がボールに絡むこと以外でも活躍できたりするようなルールを考えました。できるだけシンプルなルールにし、必要な道具をなるべく減らすことで導入しやすさも念頭に置いて制作を進めました。

ARTSを受けて

やはり課題が一番、やりがいがありました。受講者の十人十色の提案があり、自分では思いつかないようなアイデアを見ることができ、発想の幅を広げる良い機会になったと思います。卒業制作は各々の問題意識やそれに対するアプローチ、講師の方のフィードバックを踏まえたデザインの変遷を見ることができ、貴重な経験になりました。また、講義を通して友人ができたのも大きかったと思います。講義後に飲みに行くなど、学生時代のような雰囲気で、初心に帰った気持ちになりました。

河合クラス 銀賞 本間成人
(Neuromagic)

企画意図

山形県の果樹農家は、冬季の降雪により収入が不安定になる課題を抱えています。対策としてアーモンド栽培に取り組んでいますが、国産ナッツの認知はまだ低いのが現状です。そこで注目したのが、国産ならではの新鮮さを活かした「生アーモンド」の価値です。しかし生食は多くの消費者にとって想像がつきにくい存在です。そのため味よりも「存在に気付いてもらうこと」からブランド設計をしました。「生」という驚きを伝えるパッケージとネーミングで差別化し、健康や食意識の高い層へ訴求。「生」という新しい気付きと「生まれたてのおいしさ」を感じられるようにデザインしました。

ARTSを受けて

ARTSではさまざまな講師の言葉に触れ、多角的な視点から「アートディレクションとは何か」を捉えることができました。抱いていたデザインに対する不安や課題も整理され、新たな課題も見つかり、これからの成長への糧となりました。以前から受講したかった講座だったので、受講できて本当によかったです。講師の方々をはじめ関係者の皆さま、本当にありがとうございました。

柿木原クラス 銅賞 島袋琉樹
(スコープ)

企画意図

通勤時の満員電車やプレゼンテーションの前など、不快感や不安からストレスを感じることがあると思います。現代社会において、ストレスやパニックは一部の人だけのものではなく、ごく一般的なものだと考えました。そこで、触れることで安心できるお守りフィジェット「御守互札」を作成しました。このお守りは、触れることで気持ちが落ち着き、安心感を得られるフィジェットトイとお守りを組み合わせたものです。一般的なストレス軽減グッズとして、またお守りのように心を落ち着かせるリラックスアイテムとして、ストレスを抱える全ての方に届くようなデザインを目指しました。

ARTSを受けて

同じアートディレクターという立場でも、具体的な業種はさまざまで、毎回とても刺激的な授業でした。受講者も20代から30代と同世代が多く、これからさらに成長しようと意欲的な仲間たちと、同じ志を持って取り組めたことは、とても良い経験になりました。半年間、本当にありがとうございました。

河合クラス 銅賞 シュレスタまな
(東北新社)

企画意図

私は以前から災害対策をしなければと感じていたものの、ついつい後回しにしてしまっていました。調べてみると、一人暮らしの若者には私のように防災対策ができていない人が多いことがわかりました。そこで、親や祖父母が贈れるような防災ギフト「防災守」を考案しました。このセットは、持ち運びやすいお守り型の小さなポーチになっていて、必要最低限の防災アイテムが入っています。中には防災メモやリーフレットも入っており、神社などで販売することを想定しています。防災意識を高めるきっかけとして、役立ててもらいたいと考えています。

ARTSを受けて

ARTSを受講し、さまざまなアートディレクターの「アートディレクターとは」という考え方や仕事術に触れ、大きな刺激を受けました。講師の方々の熱量あるお話や、課題制作とフィードバックを通して得た学びは、どれも貴重で、心から楽しい時間でした。この経験を糧に、アートディレクターとしてこれからも精進していきたいです。

河合クラス 銅賞 小野龍太郎
(マネーフォワード)

企画意図

出身地である大分県でつくられる陶器、小鹿田焼(おんたやき)をテーマにした絵本の企画です。小鹿田焼は300年前から変わらず、全ての製作工程を手作業で行っています。その特徴を価値として伝え、共感を得ていくことをブランディングの方針とし、コンセプトを「物語のある器」としました。絵本を通じて、人の手でつくられたものの温かさに価値を感じてもらうことで、小鹿田焼の魅力が伝わることを意図しています。ビジュアルは小鹿田焼で使われる特徴的な模様や、釉薬の色、豊かな自然などをソースに色やモチーフを設定しました。絵本と共通のイメージでギフトやツール類を展開していくことで、コンセプトに基づいたユーザーとの接点づくりができるように今後の展開も意識しています。

ARTSを受けて

本当に視野が広がったなと思う半年間でした。講師の方々が若手の頃から何を考えてきたか、今大切と思っていることは何かをそれぞれの視点から聞けたことは、クリエイティブへの向き合い方が変わるきっかけになりました。また、同じ熱量を持った受講生同士で時間を共有できたことも、とても良い経験になりました。

第26期アートディレクター養成講座は2025年7月15日に開講します

講座概要
開講日 2025年7月15日
実施曜日 毎週火曜19:00~21:00、一部土曜13:30~16:30もしくは18:30~21:30
講義回数 全30回
実施形態 オンライン・オフラインの併催。講義ごとの自由選択制。
定員 90名
受講料 税込198,000円(申込金22,000円含む)
お問い合わせ 宣伝会議 アートディレクター養成講座事務局
メールアドレス:arts@sendenkaigi.co.jp

日本随一のアートディレクションを教える学校。それが宣伝会議アートディレクター養成講座です。今年で第26期を迎え、これまで2600名を超える方が受講。修了生の多くがアートディレクターとして活躍しています単にデザインの表現と技術を学ぶだけではなく、トップクラスのアートディレクターたちの思考のプロセスと判断基準に基づくアートディレクションの方法を身につけていきます。随時、無料説明会と体験講座を実施いたします。詳細は下記までお問い合わせください。

講座への申し込み、説明会・体験講座の予約はこちら

URL:https://www.sendenkaigi.com/creative/courses/art_director/

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