日本郵便が主催する第39回全日本DM大賞の入賞作品が決定した。ここでは、その中からグランプリ、金賞、銀賞に選出された作品の一部を紹介する。

金賞　グランプリ
恵比寿ワインマート

バイヤー登場DMでファン獲得
休眠DMでは購入率11.7％を記録

恵比寿ワインマートは、実店舗とECサイトの双方を展開するワインショップだ。2024年夏に実施した「12人のバイヤーおすすめフェア」案内DM（写真1、2枚目）は、約1年間の累計購入金額が5万円を超えるEC顧客を対象に送付した。EC×実店舗の相互利用を促すことによるLTV（顧客生涯価値）の向上を目的とし、恵比寿ワインマートに所属する12人のバイヤーおすすめのワインを、各バイヤーのコメントなどと合わせて紹介。その商品を実店舗とECのどちらでも購入できるフェアとした。

DMのレイアウトはカタログのように整然と並べるのではなく、遊び心が伝わるような明るい雰囲気に。店舗のPOPやディスプレイはDMのデザインやトーンと揃え、統一感のあるフェアコーナーをつくった。店頭で接客するのはDMに登場したバイヤーで、バイヤーとワインの双方を引き立てることに注力した。

顧客が実際にバイヤーに声をかけて購入するケースもあり、バイヤーと顧客との距離が縮まり、ワインのみならずバイヤーのファン化が進んだことでさらなる商品の購入に繋がる結果に。今回のDMとフェアは顧客およびEC・店舗スタッフからも好評で、今後も同様の施策を定期的に実施していく意向だ。

一方で、前年に実施した「休眠DM」（写真3、4枚目）は、3カ月ほどECでの購入がない元優良顧客の呼び戻しを図ることが目的。再度購入してもらうことを主眼に、DM記載の二次元コードにアクセスすれば、割引価格で購入できるクーポンが必ず当たる抽選会の案内と、特別価格の商品紹介に絞って訴求している。

「二次元コード→抽選→クーポン入手→商品回遊→購入」という流れを構築し、クーポンを手にした状態で商品を見て回ってもらうことで、購入意欲を高めることができた。DMのデザインは離脱傾向がある顧客に向けて送付することを考慮し、情報量は最小限に。形状はシンプルなB5ペラとして、受け取った顧客が気軽にDMを見られるようにした。

ストレスのないスムーズな導線設計も功を奏し、抽選参加率は56.6％を記録し、11.7％が実際に商品を購入した。そのうちクーポン利用率は36％に達し、長期間接触できていなかった優良顧客層復活への大きな足がかりとなった。

• 広告主／恵比寿ワインマート
• 制作者／ガリバー

金賞
A LEATHER

相撲をモチーフに制作
海外の有力バイヤーが即座に反応

2022年に誕生したレザーファッションブランド「A LEATHER（エーレザー）」が、フランスの展示会に出展した際、海外バイヤー向けに発送したDM。同ブランドは食肉由来の皮だけを利用し、鞣なめしから染色、縫製まで、日本の職人が高い品質で製造している。この精神を伝えるため、DMのテーマを「和魂（Nigimitama）-Blessings of Nature Spirits of Japan」に設定。神事としても行われている相撲をモチーフに制作した。グラフィックは元力士のモデルにA LEATHERの服を着用してもらい撮影。紙相撲の土俵は実際に使っているレザーでつくり、その上質感を手で触れて実感できるようにした。通常は3回ほど連続出展しないと効果は出ないと言われるなか、ロサンゼルスの有力セレクトショップがブースを訪れ、買い付けを行う結果を残した。

• 広告主／A LEATHER
• 制作者／シマダデザイン

銀賞
千葉県佐倉市役所

市制施行70周年記念式典
案内状のレスポンス率が向上

千葉県佐倉市は市制施行70周年を迎えた。その記念式典の案内状を発送するにあたって、出欠席はがきのレスポンス率を上げること、および式典まで案内状を保管してもらうことが課題だった。DMの構成自体はシンプルにし、受取人が迷わず返信できるようにした一方で、クリエイティブ面では大胆な画像配置やギミックなどの工夫で特別感を演出。結果的に多くの対象者から期日よりも早く回答が届き、「こんな案内状をもらったのは初めて」と好意的な反響が得られた。

• 広告主／千葉県佐倉市役所
• 制作者／JP メディアダイレクト

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