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ブランドの物語を紡ぐクリエイターの思考とプロセス

「またあえる」への変換で生まれた、未来に続く物語

サントリー食品インターナショナルは今年4月、「GREEN DA・KA・RA やさしい麦茶」をリニューアル発売した。それに伴い、650mlと600mlの製品はすべてリサイクル素材100%のペットボトル、通称「またあえるボトル」に変更。その周知のためのコンセプトムービー「ムギちゃんとふしぎなおじさん」を公開した。

「またあえるボトル」のロゴを制作したのはMR_DESIGNのアートディレクター 佐野研二郎さん。

「その先の物語」を紡ぐために

「『GREEN DA・KA・RA』シリーズではこれまで、ブランドの成長を『ダカラちゃん』や『ムギちゃん』の成長と重ねて描いてきました。リサイクル素材のペットボトルを採用したことを告知するにも、そのストーリーの中に落とし込むのは自然なことでした」と話すのは、2012年の「GREEN DA・KA・RA」発売時からシリーズのクリエイティブディレクションを手がけるカンガエルの赤松隆一郎さんだ。

「『やさしい麦茶』で一番大切なのは、その名の通り“やさしさ”です。それは商品設計、素材、浸透圧、濃度といった機能面だけでなく、コミュニケーションにおいても同じこと。それを前提に皆でアイデアを出し合うなかで出てきたのが、リサイクルを“またあえる”に変換するという考えでした。“またあえる”という言葉に言い換えると、単にペットボトルを捨てて、それがリサイクルされる……というのではなく、もしかしたら巡り巡ってまた自分のもとに帰ってくるかもしれないという温かみのある未来への期待に変わる。だから捨てるという行為が送り出す行為になります。捨てておしまい、ではなくその先のストーリーが想像できるという点がポイントでした」と赤松さんは話す。

一方で、「リサイクル」と言ってしまったほうが、視聴者には直感的に伝わりやすいという側面もある。「でも、大人の事情でそれをムギちゃんに言わせるのは、なんだか押しつけがましいような気がして。それに『GREEN DA・KA・RA』ブランドでは、コミュニケーションのスピードが少し遅くてもいいと思ってるんです。速いボールじゃなくてもちゃんと重さがあり、受け取った時に手の中でなんだかずっとぬくいボールのような伝達の仕方がちょうど良いなと」。

「やさしい麦茶」では以前に内容量を増量した際も、“ムギちゃんの身長が伸びた”と変換してテレビCMを制作。情報を直感的に伝える「速さ」よりも、ストーリーに落とし込むことで伝わる「重さ」や理解の「深さ」といったものを意識してきた。

4月に公開したコンセプトムービー「ムギちゃんとふしぎなおじさん」。

おじさんへの具現化がカギ

「またあえる」というコンセプトが生まれてすぐ、MR_DESIGNのアートディレクター 佐野研二郎さんがハットを被って蝶ネクタイを付けた「またあえるおじさん」のロゴをつくったことで、企画は一気に具体的になっていく。「ここはもう、佐野さんの力量がすごくて。“またあえる”を実感してもらうには、ボトルが生きている気配が伝わることが大事だと考えていました。ひとことで言えば擬人化ということになるのですが、おにいさんとかではなく、紳士なんだけどちょっと哀愁も感じさせる...

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物語の力によって人々にメッセージを広く伝える、ストーリーテリングの手法。オンライン動画をはじめ尺の自由度が高まり、SNS など媒体の選択肢が広がったことで広告発のコンテンツにおいても物語を紡ぐ力が求められている状況といえるでしょう。今回は、ストーリーを基軸とした映像やデジタルクリエイティブの事例のほか、これらを生み出してきたクリエイターにフォーカス。映画やドラマや小説とも異なる、広告という場だからこそ機能するストーリーの生み出す思考とプロセスに迫ります。