会員制の生ビール定期配送サービス「キリン ホームタップ」が好調だ。名称やロゴとともにサービスの「顔」となっているのが真っ白なビールサーバー。今回はそのプロダクトデザインの視点から、魅力を探る。

箱・ラベル・パッケージ・アイコンなどのデザインは6Dのグラフィックデザイナー 木住野彰悟さんが担当。
「家具としての家電」がコンセプト
キリンビールが展開する「キリン ホームタップ」は、工場のタンクから専用のペットボトルに詰められたビールが会員の自宅に月に2回届き、サーバーで楽しめるサービスだ。ビールの種類は、定番の「一番搾りプレミアム」のほか「スプリングバレー」「ブルックリン・ブルワリー」などのブランドを含め、毎月3~4種類の期間限定ビールをそろえている。
月4Lコースは月額8250円(税込)からと、決して手ごろな価格帯ではない。それでも、2021年3月に本格的にサービスをスタートして以降、会員数は順調に伸びている。当初予定していた21年度中の目標会員数を、8月には早くも突破したと発表された。
そんな「キリン ホームタップ」の人気の秘密はどこにあるのだろうか。自宅で工場直送のビールを手軽に楽しめるサービス自体はもちろんのこと、サーバーの丸みのある特徴的なプロダクトデザインも、サービスの魅力を底上げしているひとつの要素だろう。
「キリン ホームタップ」の前身にあたるのは、2015年にテストマーケティングとして展開していた「キリン ブルワリーオーナーズクラブ」。これはホームタップと同様、自宅でサーバーとビールが楽しめるサービスだった。その当時からサーバーのプロダクトデザインを担っているのが、デザイナー/クリエイティブディレクターの角田陽太さんだ。
「当時は女性が主なターゲットであると聞いたので、『家具としての家電』というコンセプトを提案しました。ビールのサーバーというと、居酒屋にある銀色でピカピカした無骨な機械といったイメージがありますが、そうではなく、出しておいても家に馴染むデザインにしたかったんです」。そこで、丸みのあるボディにし、色は白に。注ぎ口にはオーク系の木材を採用した。
「サーバーを構成する部品は四角いものが...