今回で12期目となる「ラジオCM制作実践講座」。エフエム福岡と宣伝会議の共同講座として、直川隆久さん(電通)を講師に迎え、全3日間の講義が福岡会場とオンラインで実施された。本講座では、受講生が課題として取り組んで企画したラジオCMを実際に収録。広告会社や制作会社、一般企業、官公庁、大学生などさまざまな年齢、職種の受講生が、九州のみならず、東京、沖縄などからも受講した。

「ラジオCM制作実践講座」の講義風景から。
音で印象に残る企画を
今期の協賛企業は乳製品の製造および販売を行う「糸島みるくぷらんと」、県民に歩くライフスタイルを推進している佐賀県、「リサイクルマート」を運営するフェスタの3社。受講生は各企業のオリエンテーションをもとに実際にラジオCMを制作する。講師は、ACC TOKYO CREATIVITY AWARDS ラジオCM部門でグランプリの受賞経験を持つ電通 直川隆久さんが昨年に引き続き務めた。
初日は、ラジオCM制作の基礎を学び、最後に協賛企業3社からのオリエンテーションが行われた。2日目は、受講生の作品への講評を踏まえて数本を実際に収録。音声にしたときの伝わりやすさや演出のコツなど、現場ならではの指導も行われ、CMができるまでの流れを体験した。
最終日は受講生が再提出したCMコンテから、各協賛企業賞と、直川さんが選出した優秀作品3作品の全6本を収録、編集。コピーの磨き上げ、ナレーターへの指示出し、効果音の選択などを行い、それぞれのCMを完成させた。
制作した6作品からグランプリに選ばれたのは、花田直輝さんが企画した、フェスタの「鬼退治」篇。同作をはじめ、制作した6作品は実際にエフエム福岡で1月以降に順次オンエアされている。

グランプリ
花田直輝
フェスタ「鬼退治」篇
SE:ピンポーン
鬼:桃太郎さーん、鬼ですー。
桃太郎:え?なんだ急に!?
鬼:近々我々を退治しに来るって聞いたんで、こちらから伺いました!では、どうぞ!
SE:ドゴッ
鬼:ヴっ…
桃太郎:楽だわー。
NA:来てくれると助かる。大型家具・家電の出張買取も。
サウンドロゴ:リサイクルマート フェスタ♪
受賞者コメント

グランプリありがとうございます!人生で一番コピーを考えて、あがきながらなんとかできた企画でした。年始から口内炎でご飯が食べられず沈みきっていたのでとても嬉しいです。直川さん、協賛企業の皆さん、エフエム福岡さん、受講生の皆さん、ありがとうございました。
講師コメント

出張買取という、フリマアプリにはない実店舗型リサイクルショップの優位性を的確にピックアップしたこと。「桃太郎」の導入部から「来てくれると助かる」に落とし込む、その落差の大きさが大変印象的だったこと。以上がグランプリにさせていただいた理由です!

優秀賞
岡部希
糸島みるくぷらんと「飲み干したい」篇
子:(吸う音)
母:とし君、その飲むヨーグルト、空っぽでしょ?
子:…残ってる。
母:伊都物語はとろぉりとしてるから、もう飲めないわよ。
SE:(容器の底をたたく音)
子:…まだ飲める。
NA:最後の最後まで飲み干したい。飲むヨーグルトは伊都物語。

優秀賞
北村朱里
佐賀県「ちゃっかり」篇
BGM(優しいメロディ)
女:歩くって、いいな。時間がゆっくり進んで、やさしい気持ちになれるから。なーんてね!
BGM(ハードな音楽)
女:駐車場いらないし、バスの運転手さんイケメンだったし、友だちとバッタリ会ってお菓子もらったし。トクしてばっかりだから、歩いてます!
NA:いいんじゃない?歩こう。佐賀県。

協賛企業賞
大津快也
糸島みるくぷらんと「勘違い」篇
おばあちゃん:すみません。“ホンモノ牛乳”ありますか?
店員:“ホンモノ牛乳”…?
おばあちゃん:そう、低温殺菌でコクのある“ホンモノ牛乳”。孫が大好きで。
NA:おばあちゃん、“ホンモノ牛乳”じゃなくて、“ノンホモ牛乳”ですよ。ノンホモ牛乳なら、伊都物語。
協賛企業コメント
「本物」「安心」「優しさ」弊社の基本理念にも通ずる、とても微笑ましい作品だと感じました。伊都物語のこだわりでもある搾りたての牛乳により近い「ノンホモ牛乳」を前面にアピールすることにより「ノンホモ牛乳って何?」と、リスナーの方に思っていただける効果にも期待をして選ばせていただきました。(糸島みるくぷらんと 常務取締役 田中和久氏)

協賛企業賞
宮本聖子
佐賀県「日記」篇
男:見て見て、この日めっちゃ歩いとらん?
女:食べ過ぎて遠回りして帰った日だよ。
男:ははは。じゃあさ、この週あんまり歩いとらんとは?
女:風邪をひいた私に、あなたが付きっ切りだったとき。
男:そがん日もあったね。
NA:歩いた歩数が日記になる。歩こう。佐賀県。
男:これからも、一緒に歩いていこうね。
協賛企業コメント
ウォーキングアプリ「SAGATOCO」の歩数記録を日記になぞらえることによって、日常的に歩くことの素晴らしさを感じてもらえる点で選びました。登場人物の2人が一緒に歩いている様子をイメージさせることで、家族や友人と佐賀を歩いてみたくなるような作品になったと思います。(佐賀県 地域交流部交通政策課 主事 牟田優花氏)

協賛企業賞
大場一輝
フェスタ「クイズ」篇
司会者:問題です。
SE:チチチ…(シンキングタイム)
司会者:「リサイクルマート フェスタ」が行っているサービスは、この中でどれでしょうか?
①「売れるもの」は何でも買取
②大型家具・家電の出張買取
③LINE査定
SE:ピンポーン
回答者:1番で。
SE:ブブー
司会者:正解は、全部です。
NA:モノを売るなら
サウンドロゴ:リサイクルマート フェスタ♪
協賛企業コメント
当社が伝えたい内容がクイズの質問の中に入っており、クイズ形式に仕上げてあるのでリスナーの方もクイズの答えを楽しみながら、なおかつ考えながら聞いていただけるのではないかと思います。20秒と短い時間の中でコンパクトにまとめられており、季節にかかわらず1年を通して長く使えるCMだと思い選ばせていただきました。(フェスタ 代表取締役 福重辰弥氏)
制作したラジオCMは、宣伝会議のWebサイトにて公開中。