赤血球、白血球、キラーT細胞など人間の体内にある細胞を擬人化した作品『はたらく細胞』。『月刊少年シリウス』(講談社)で連載開始後、アニメ化、さらには劇場上映された。健康をテーマに多くの企業とコラボレーション企画も生まれている。

©清水茜/講談社・アニプレックス・davidproduction
世界中の全ての人に普遍的な自分自身の物語
「『はたらく細胞』は、一言で言えば、自分自身の物語なんです」と話すのは、アニメ『はたらく細胞』のプロデューサーを務めるアニプレックス 企画制作第1グループ企画制作部4課 課長 高橋祐馬さん。
物語の舞台は、とある「人」の体内。その中では数十兆個もの細胞が年中無休で働いている。赤血球は酸素を体中に運び、免疫細胞たちは細菌やウイルスなどの体を脅かす異常と戦う。さまざまな騒動が起こる身体の中で、新米の赤血球「AE3803」や白血球「U-1146」などを中心に、細胞たちの日常を描いている。
「『はたらく細胞』は、今まさに自分の体の中で働いている赤血球や白血球を楽しむ物語。それは、創作物のキャラクターに感情移入したり、憧れたり、感動したりするのとはまた違う体験です。彼らや彼女たちが自分の体の中で働いていて、自分の健康を守っていることを自分ごととして実感できる。そして、何となく名前は聞いたことはあるけれど、どんな働きをしているのか知らない、細胞の役割を知ることもできる。作品を通して、自分の体の中の細胞に感謝の気持ちが生まれ、自分を好きになれる。さらに、その物語は老若男女、国籍問わず世界中の全ての人々に普遍的です。それが『はたらく細胞』の魅力です」。
全員に意義のあるコラボレーションを
そんな『はたらく細胞』は、多くの企業とコラボレーションをしている。その一例が、2019年にスタートした大塚製薬「ポカリスエット」との取り組みだ。熱中症のメカニズムと、水分と電解質を含むポカリスエットを飲むことで得られる効果をオリジナルアニメで解説した。赤血球のキャラクターが、毛細血管が干からびた砂漠のようになった表皮付近を熱さに何とか耐えながら歩く。そんな描写で、皮膚の近くに血液を多く流し、熱を放散する機能「放熱」を伝える。その他にも、汗の役割や熱中症による症状などを分かりやすく表現した。
2020年6月に公開された最新の動画「帰ってきた!はたらく細胞第11.5話熱中症~もしもポカリスエットがあったら~」は、既に...