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企業・社会を変えたクリエイターの発想

異色のコラボで話題化 ブランドの接点を広げる

誕生から58年の歴史を持つプラレールと、漆芸や江戸切子などの伝統工芸がコラボレーションした「伝統工芸×プラレール」。注目を集めるこの異色のコラボは、どんな背景から生まれたのだろうか?

伝統工芸×プラレール。上から箱根寄木細工、京都竹工芸、漆芸、江戸切子。30代前半を中心とした若手作家に依頼。さまざまな職人の技が詰め込まれている。

プラレールのものづくりの精神を伝統工芸で表現する

タカラトミーは、同社を代表する鉄道玩具「プラレール」と、日本の伝統工芸職人の技を融合させた「伝統工芸×プラレール」プロジェクトを今年6月に発表した。その背景について、タカラトミー プラレール企画部 マーケティング課の山下由衣さんは「プラレールは2年後に誕生60周年を迎えます。この機会に私たちが大切にしてきたおもちゃづくりに不可欠な職人魂や繊細さを伝えていきたいと考えたことが企画のきっかけでした」と話す。

プラレールは同社内で「3世代おもちゃ」とも呼ばれている。発売初期と今のレールの規格が全く変わっていないため、おじいちゃんの押入れから出てきたプラレールを今のレールにつなげて、孫が最新の電車を走らせることもできる。おもちゃメーカーとしての耐久性や安全性へのこだわりがあって実現できることであり、地味ではあるが、長年愛され信頼されてきた理由がそこにあると山下さんは言う。

「弊社内には大勢の職人がいて、ものづくりへのこだわりを持っておもちゃを作っています。例えば電車の連結部分ひとつ取っても、雑巾絞りのように絞って外しても壊れにくいなど、子どもが安全に遊ぶための工夫が随所に込められています。こういった日本のおもちゃの伝統や繊細なものづくりを、これまでと違った形でお客さまに知っていただきたいという思いが根底にありました」。

伝統工芸とのコラボレーションという具体的なアイデアを考案したのは、グレイワールドワイド シニアアートディレクターの高井学さんだ。伝統工芸は受け継がれてきた歴史があり、作家ごとの個性がある。まさにものづくりの象徴の世界。ものづくりという共通項でコラボレーションするのにふさわしいと考えた。

伝統工芸の世界は、後継者不足などの課題を抱えているが、知名度の高いプラレールとコラボすることで、若い世代の間で関心を高め、子どもたちにも江戸切子や漆などの伝統工芸を自然に伝えられる。そんな意義のあるプロジェクトにできるのではと考えたという。

タカラトミーにとっても、プラレールブランドをこれまでにない形で、これまでにない層へアピールできる機会にできる。「特別なコラボをすることで、普段おもちゃ屋で売られているプラレールを、特別な存在だと思ってもらえる。今は遊ばなくなった世代の方たちにも、プラレールを思い出してもらうきっかけにしたいと考えました」(山下さん) ...

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企業・社会を変えたクリエイターの発想

新規事業や事業転換、コーポレートブランドの刷新など、企業の大きな変革の節目に、クリエイターが立ち会うケースが増えている。経営者や組織のトップのパートナーとして、ユーザーや地域、そして社会全体にどのようなメッセージを、どんな顔つきのクリエイティブで発信すべきかを考える。

そして、実現のために必要なスキルや資産を持つ人や企業をチーム化し、トップのビジョンを具現化する体制を作り出す。トップはクリエイターの発想に何を期待し、その実現プロセスはどのようなものだったのか。