9月最後の週末、表参道ヒルズのエントランスから吹抜け大階段、そしてイベント会場 スペース オーに至るまで、キラキラとしたゴールドの装飾で空間が埋め尽くされた。その会場に足を踏み入れた人が体験したのは、ヘアケアブランド「LUX」の世界観をイメージした映像インスタレーションである。
瞬時に生成される映像
会場に設置されたのは、3メートル以上ある高さのインスタレーションブース。アテンダントの指示に従い、来場者はスクリーンの前に立つと、センサーが頭部の位置を認識、体験がスタートする。カウントダウン後、始まるのは、まるで自分自身の髪の毛から咲き誇っているかのように見える花やジュエリーなどの映像。色とりどりのモチーフは体験者の動きに合わせて、さまざまな形に変化する。約50秒間の体験だが、その間に二つとない映像やビジュアルが瞬時に生成されていくのだ。そして公式カメラがその様子を10秒ごとに記録し、公式サイトにアップ。参加者は自分が主役のデジタルアートに参加する面白さと、それを見て、さらにはシェアする楽しみを満喫した。
これは今年、日本での発売25周年を迎えたLUXが実施した体験型デジタルインスタレーション「Bloom to Shine」だ。LUXは周年記念のイベントとして、従来とは違うメディアを活用したコミュニケーションへのチャレンジを開始。同ブランドのプレミアム感をあらためて伝えるべく、デジタルイベントを企画した。「当初から意識したのは、ターゲットでもある20~30代女性がシェアしたくなるコンテンツ。ヘアケアブランドですから、髪の毛はモチーフとして表現したいと考えていました」(ユニリーバ・ジャパン ラックス ヘア マーケティング 木村元さん)。アイデアラッシュを重ねる中で出てきたのが、髪の毛から美しいビジュアルが広がっていくイメージ。「自分自身がまるで花になったかのように美しく咲き誇るイメージ」を具体化するべく、プロデュースをしたアサツー ディ・ケイ、そしてProjectorを代表としたデジタルと映像に強いクリエイターチームに参加してもらい、このインスタレーションブースを一からつくりあげた。仕組みとしては、ブースの内側に設置されたキネクトが頭部の動きに反応、モチーフが次々と背面のスクリーンに映し出される。映像のテーマは4つ。LUXのメインカラーであるゴールドとホワイト、そしてシルバーとクリスタルで、全54種類の映像を制作。いずれも女性たちが「見たことがない」、そして「ディテールにこだわりのある」ビジュアルを目指した。「8月末からオンエア中のCMでは、ゴールドとリボンをモチーフとしているので、その世界観と重ねあわせることに苦心しました」(木村さん)。また、会場の床面には、ライゾマティクスによるデジタルアートを設置。歩くたびにキラキラとした光の流れが変化し、ブーケとリボンのゴールドのオブジェなどと共に会場に彩りを添えた。
「イベントは成功し、来場したみなさんも満足してくださった。これからはこの内容をいかに波及させていくか、コンテンツとしても見せ方に力を入れていきたい」と木村さん。10月末からはイベントの内容をまとめたムービーを公式サイトで公開。来年3月までは周年イヤーとして、さまざまなメディアでコミュニケーションを展開していく考えだ。
- CD:Projector
- スペースディレクション:JTQ
- AD:White
- メインインスタレーション:WOW
- メインインスタレーションプログラム:RANAGRAM
- エントランスインスタレーション:Rhizomatiks
- 音楽+サウンドデザイン:evala(port, ATAK)
- Web制作:S2ファクトリー、minsak、maima
- プロデュース:kichi、ROBOT
- 広告会社:アサツー ディ・ケイ