生成AIの台頭により、業務の効率化が実現すると共に、メディアの在り方や、企業と人の接点のつくり方をも変えるような大きなインパクトが予測されます。マーケターは、これらの技術をどのように受け入れ、業務に活かしていけばよいのでしょうか。26回目となる今回は、持続的な生成AIビジネスの展望について、富士通の山根宏彰氏が解説します。
規模の“不経済”を克服するAIビジネスモデルとは?
2カ月にわたり、企業がAIサービスを無料で提供する理由とそれにまつわるトピックスについて展開している本コーナー。前回は、生成AIサービスの無料提供戦略の構造的な課題について論じた。
後半となる今回は、現状「規模の不経済」に陥っているAIが、いかにして持続的なビジネスモデルとなりうるかについて、論じていく。
技術だけでは生き残れないNetscape Navigatorの教訓
生成AIが直面する課題を考える上で参考となりうるのが、ネットスケープコミュニケーションズが開発していたWebブラウザであるNetscape Navigatorだ。1994年に登場したNetscape Navigatorは、90年代半ばには、Webブラウザ市場で80%以上のシェアを誇っていた。しかし、MicrosoftがInternet ExplorerをWindowsに無料で提供したことで、状況が一変。シェアを急速に失い、2008年にサポート終了を迎えた。「ブラウザ戦争」とも呼ばれた、このシェア争奪戦。90年代のWebブラウザと、現在の生成AIでは収益源など大きく異なるものの、このケースから...

