昨今、ブランドの世界観を生活者に深く浸透させ、記憶に刻むためのリアル空間での「ブランド体験(BX)」が注目を集めている。そうしたなか、アド近鉄は近畿日本鉄道(以下、近鉄)の交通広告として初となる大型LEDビジョン「迎都(げいと)ビジョン京都」を近鉄京都駅にて放映開始した。駅の構造を活かし「イマーシブ空間を創出する」というコンセプトを掲げ、空間をジャックする同媒体は、どのようなソリューションを提供するのか。担当者に話を聞いた。
ホーム側から(上)と改札外側から(下)。広告面最大H2700㎜×W1500㎜で、計24面(内訳:1柱4面×1基、1柱2面×10基)が立ち並ぶ。最も新幹線改札に近い柱は4面LEDで、横型の動画も放映可能。
巨大ターミナル「京都駅」に新たなシンボルが誕生
―「迎都ビジョン京都」始動の背景と、名称の由来について教えてください。
戸泉:今回のプロジェクトは、交通広告市場の主力がデジタルサイネージへ大きくシフトしていることを最大の背景に始動しました。その中で京都駅を選定した理由は、同駅が新幹線を含む計4社局8路線が乗り入れる巨大ターミナルであり、近鉄の「玄関口」として重要な拠点であるためです。加えて、京都駅周辺にはこれほど大型のLEDビジョンの設置事例が少なく、高い希少性と発信力を兼ね備えたロケーションであると判断しました。
名称である「迎都(げいと)ビジョン京都」は社内公募で決定。「京都で皆さんを迎え入れる(迎都)メディアになること」と、近鉄の「玄関口」を意味する「ゲート(GATE)」を掛け合わせています。京都を訪れる人々を賑やかに迎え入れる、新たなシンボルになってほしいという期待を込めています。
―「イマーシブ空間を創出する」というコンセプトですが、具体的にどのような演出や表現が可能なのでしょうか。
豊泉:大きな狙いは、駅の構造的強みを活かすことです。近鉄京都駅の改札内外には、大きな柱が東西に並んでいます。ここに計24面の高精細LEDサイネージを、連続性を持たせて配置することで、空間の一体感を演出できます。整然と立ち並ぶサイネージの間を通ることで、利用者が、まるで広告の世界観の中に足を踏み入れたかのような感覚を体験できる点が特徴です。
また、改札外のエリアに向けて音声が届くようにスピーカーを設置。映像の連続性に音声が掛け合わさることで、視覚と聴覚の両方にアプローチでき、没入感がさらに高まると考えています。
戸泉:クリエイティブの汎用性にもこだわりました。特殊な形状ではなく、あえて一般的な16:9の画角を採用しているため、既存の縦型素材でも放映しやすい仕様になっています。また、24面それぞれに異なるクリエイティブを表示させることができ、例えば、奥からキャラクターが移動してくるといったストーリー性のある展開も可能です。
―この「空間ジャック」がもたらす効果をどのように捉えていますか。
戸泉:まずターゲットの幅広さがあります。設置場所は、東海道新幹線中央口正面に位置し、南北自由通路にも隣接する1日20万人以上が行き交う極めてトラフィックの高いエリアです。近鉄京都駅は他の近鉄各駅と比較すると定期外の利用者が非常に多いという特徴があり、通勤・通学の利用者に加え、ビジネス層やインバウンドを含む観光客へ幅広くアプローチできます。また改札前のエリアは生活者や観光客の集合場所にもなっています。
実際に現場を見たクライアントさまからは、大人の身長の1.5倍近く(最大高さ2700mm)あるビジョンのスケール感に「想像以上のインパクトがある」と大きな期待を寄せられています。
豊泉:近鉄京都駅唯一の改札を取り囲むビジョンで、視覚と聴覚が交差するイマーシブな演出により、通過する数秒間を「記憶に残るブランド体験」へと昇華させます。ハイブランドの世界観訴求、エンターテインメント作品のプロモーション、飲料・消費財の新商品発表など、ブランドの熱量を強くアピールしたい場面で効果を発揮すると考えます。
圧倒的なスケール感とストーリー性のある広告表現で「思わず写真や動画に収めたくなる」仕掛けをつくり、リアルからデジタルへの二次拡散を生み出すハブとしての活躍が大いに期待できます。
―最後に、今後の「迎都ビジョン京都」の展望と、アド近鉄としての交通広告事業の未来についてお聞かせください。
戸泉:世界遺産が多くある奈良エリアに、新たに「飛鳥・藤原の宮都」が世界文化遺産登録されたこともあり、京都~奈良間の観光のゲートウェイとして近鉄京都駅の重要性と利用客数はさらに高まっていきます。京都で広告を出すなら、真っ先に「『迎都ビジョン京都』を押さえたい」と言っていただけるような、京都を代表するフラッグシップ媒体・新たなランドマークへと育てていきたいと考えています。
交通広告が単なる「情報伝達」から「空間体験・エンターテインメント」へと変化するなか、当社においても、進化するデジタル技術とOOHならではの特性を掛け合わせたメディア開発を通じて、駅や街の賑わいを創出し、近鉄沿線全体の価値向上と地域活性化に貢献してまいります。
豊泉:「迎都ビジョン京都」の価値は、単に画面へ広告を映し出すことではなく、改札を通る人の心に、ブランドの世界観へ飛び込んだような感動と記憶を残せる点にあると考えます。新商品のデビューやブランドの新しいストーリーを世の中に発信する舞台として、クライアントやクリエイターの皆さまが抱く熱い想いや世界観を、ぜひこの24面のイマーシブ空間で解き放っていただきたいと思っています。
アド近鉄
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係長
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