ポストメディア時代の〈真実〉の居場所
「視差小説」というジャンルがある。同じ出来事を複数の語り手の視点から語る形式のナラティブで、有名な作品としては芥川龍之介の『藪の中』(黒澤明監督の映画『羅生門』の原作)がある。最近、このような手法を用いた作品が増えているように思われる。例えば、澤村伊智さんの『ぼぎわんが、来る』、朝井リョウさんの『桐島、部活やめるってよ』なども視差小説である。
視差小説では、語り手が変わることで、主観と客観がぐるりと展開し、同じ出来事が全く異なる解釈の光に晒される。視差小説が増えているのは、このような語りが、マスメディアと...

