第一線のマーケター・クリエイターが明かす、キャリアアップの奥義。今回は、GA technologiesでRENOSY(リノシー)事業 Marketing本部部長を務める片瀬大さんにこれまでのキャリアについて伺いました。良い転職は、良質な情報を入手することから始まります。「こんなはずではなかったのに…」とならないための、転職情報をお届けします!
Q.学生時代はどう過ごしていましたか?
学生時代は、車と音楽に夢中で、将来について深く考えているほうではありませんでした。ただ、アンケートやインタビューのデータ処理のアルバイトには熱心に取り組んでいました。商品コンセプト調査やブランドイメージ調査など、さまざまなデータに触れるなかで「これは人間を理解する仕事だ」と気付き、その奥深さに惹かれたことが僕のキャリアの原点になっています。
大学卒業後は社員15人ほどのマーケティングリサーチ会社に就職し、ロレアル、P&G、花王などの案件にデータアナリストとして携わりました。多様なタッチポイントで徹底的にリサーチする貴重な経験を積む一方、名だたるグローバル企業と直接やり取りをするなかで、英語力の不足やマーケティング知識の浅さを痛感していました。
Q.留学ではどんなことを学びましたか?
会社を辞めてイギリスへ渡ったのが30歳のとき。少し仕事で行き詰まっていた時期でした。周囲からは無職になることを心配されましたが、師匠のような存在の上司から「行きなさい」と背中を押されて、決断しました。
MBA取得を目指して学ぶなかで実感したのは、経験と知識の両輪で仕事は進むということ。そして多様性という言葉の本当の意味です。常識や価値観が違う人たちと競い合い、協働することの面白さを知りました。
帰国後は、知識を実践に移すため、ビッグデータの波が来ていたゲーム業界へ。KLabでは行動データを用いてユーザーの迷いや課金、離脱のポイントを分析し、数字の裏にある感情を読み解く力を磨きました。DeNAではリサーチ組織の再構築やオンラインスーパー「SEIYUドットコム」のマーケティングを担当し、新規事業にも携わりました。
続くMIXIではグローバル展開を担当し、異文化チームとの協働や海外パートナーとの交渉を経験。国境を越えた現場で、人脈が大きな資産になることを痛感しました。イギリスで得た知識とゲーム業界で積み重ねた経験が一本の線でつながり、次に進むための基盤がようやく整ったと感じました。
Q.新天地はどのように選んだのですか?
どんな環境で力を発揮したいかを考えたとき、頭に浮かんだのが新規事業というテーマでした。DeNAで新規事業に携わった際、事業を動かすのは「責任者の想い」だと実感しました。僕の強みはデータ分析ですが、データだけで事業は動かない。データをもとに決断をする意思が何より重要だと考えたのです。
例えばABテストでの勝率で、Aが60%、Bが40%という結果が出ても、自分たちの理想がBなら、結果を踏まえて40%を勝たせる戦略をつくる。その「筋が悪い」ところから逆転させられたら面白いし、ヒットではなくホームランを打ちたいなら、「想い」を信じたほうがいいと思うんです。
そんなとき、AI不動産投資の「RENOSY」を利用したことが現職であるGA technologiesとの出会いでした。サービスの面白さに加え、新規事業としての伸びしろがあるように思いました。実はDeNA時代の同僚が役員を務めていて。話を聞くうちに、自分が貢献できる余地が大きいと感じたんです。そして決定打となったのが、代表の樋口龍との対話です。圧倒的な熱量に触れ、「この人の想いに共感できる」と直感しました。留学で得た知識、実務で磨いたスキルと経験、そして人脈。そのすべてをGA technologiesでなら最大限活かせると確信し、入社を決めました。
Q.マーケのトップとしていま考えていることは?
僕が強く意識しているのは「越境すること」です。マーケティングはもはや一部門の仕事ではなく、プロダクト、営業、PR、デザイン、CSなど、あらゆる領域と接続しながら価値をつくる仕事になりました。だからこそ、自分の専門領域に閉じこもるのではなく、他者の視点を理解し、共通言語をつくり、同じゴールに向かって進む力が求められます。
今の会社では、事業のスピードもスケールもこれまでとは桁違いです。広告予算の規模は数十億円ですから、ひとつの判断が事業全体に大きな影響を与えます。僕がマーケティングの責任者として大切にしているのは、問いの質を上げること。AIが当たり前に活用される時代だからこそ、なぜその施策をやるのか、どんな未来をつくりたいのかという問いが、意思決定の精度を左右します。
そしてもうひとつは、組織として「on the same page」、つまり共通認識を持っている状態を保つこと。メンバー個々人が持つ方向性は、必ずズレていくものです。だからこそ、メンバーと対話を重ね、期待値をすり合わせ、ズレを修正する仕組みをつくる。MIXI時代のグローバルチームで学んだこの感覚は、今でも強く生きています。
経験・知識・スキル・人脈──この4つの軸を磨きながら、越境し、問い続け、仲間と共に未来をつくる。それが、僕がキャリアの次のステージで果たしたい役割です。
株式会社GA technologies
RENOSY事業
Marketing 本部部長
片瀬 大氏
2004年、マーケティングリサーチ会社でキャリアを開始し、イギリスの大学院にて修士号を取得。帰国後、KLabを経て、2015年にDeNA、2018年にMIXIでマーケティング責任者を歴任し、新規事業やグローバル施策を推進。組織運営や戦略立案、多国籍チームのマネジメント経験などを重ね、2024年11月より現職。RENOSYのブランド強化とマーケ基盤の整備に取り組む。
聞き手
株式会社マスメディアン
取締役
国家資格キャリアコンサルタント
荒川 直哉
マーケティング・クリエイティブ職専門のキャリアコンサルタント。累計4000名以上の転職を支援する一方で、大手事業会社や広告会社、広告制作会社、IT 企業、コンサル企業への採用コンサルティングを行う。転職希望者と採用企業の両方の動向を把握しているエキスパートとして、キャリアコンサルティング部門の責任者を務める。「転職者の親身になる」がモットー。
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