人口減少や価値観の多様化、オンライン体験の浸透などを背景に、モビリティビジネスは「移動手段の提供」から「移動を起点とした価値創造」へと大きく舵を切りつつあります。“モビリティ・カンパニー”への転換を進め、販売後の体験までを含めた顧客価値の最大化に挑むトヨタ。JR東日本もまた、駅や鉄道を「移動の通過点」から「生活と体験のハブ」へと再定義し、新たな需要創出に踏み出しています。両社に共通するのは、データ活用を基盤とした顧客理解の深化と、それを支える人材・組織の在り方を根本から問い直す姿勢でした。
トヨタ自動車
デジタル変革推進部
CX CENTER担当部長
佐々木英彦氏
1991年トヨタ自動車入社。広報部でマスコミ対応を中心に企業広報全般を経験。2001年にGAZOO事業部(現e-TOYOTA部)にてデジタルマーケティング領域で多様な施策を企画・実行。2021年よりCX最適化を担当。
東日本旅客鉄道
マーケティング本部
戦略・プラットフォーム部門データマーケティングユニット
担当部長
渋谷直正氏
2002年に日本航空に入社。2014年、日経情報ストラテジー誌による「データサイエンティスト・オブ・ザ・イヤー」受賞。2019年にデジタルガレージ転職、執行役員CDOに就任。2021年より現職。
駅で予防接種も!?モビリティサービスの拡張
―人口の減少に伴う国内の移動需要の減少やオンラインでの体験価値の高まりを背景に、モビリティサービスは大きな転換期を迎えています。お二人はこの現状をどう捉えていますか。
佐々木:トヨタはこれまで、...
