食品・飲料メーカーの多くが、小売店経由で商品を販売する「BtoBtoCモデル」を採用してきました。しかし近年では、販路も多様化。特にメーカー自らが顧客と直接つながる「ダイレクトチャネル」の開拓が急速に注目を集めています。それに伴いマーケティングにはどのような変化が起きているのでしょうか。
ダイレクトチャネルなら尖ったことに挑戦しやすい
―現在、取り組まれている事業と、ダイレクトチャネルで新サービス開発に取り組む背景を教えてください。
井上:サントリーの自販機キャッシュレスアプリ「ジハンピ」など、自販機の新規事業を担当しています。日本には約210万台の自販機があり、そのうちサントリーが保有するのは約34万台。お客さまの生活に溶け込んでいる、このアセットを活かさない手はないですし、「優良な顧客接点」と捉えると、可能性にあふれているインフラだと考えています。自販機の本質的な価値は、どこでも、すぐに買えること。ところが、サントリーの自販機に限っても、キャッシュレスに対応しているのは2割程度にとどまり、操作方法も複雑。消費者調査で、決済に失敗して買えなかった経験を持つ方が多くいることも分かりました。これが「ジハンピ」の開発に至った背景です。2025年3月にアプリをローンチしてから約1年で、ダウンロード数は1500万にのぼっています。
佐藤:私はミツカンのD2C事業である、植物由来の食品ブランド「ZENB」を担当しています。「ZENB」は普段は捨ててしまう芯や皮まで可能な限り使う、といったサステナブルな取り組みに挑戦するブランドで、ECチャネルを中心に展開しています。「ZENB」は、事業の成長を通じて、美味しさと健康をひとつにする「新しい食の選択肢」の創造を目指しています。このゴールを考えた際、自分たちで情報・ブランドの振る舞い...

