顧客行動の背景にある“なぜ?”をAIドリブンに解明 クロス・マーケティングが示すインサイト発見の新時代

公開日:2026年1月30日

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    顧客が「何を買ったか」は分かっても、「なぜ買ったのか」までは分からない……。リサーチとデータ分析の現場が長年抱えてきたこの壁が、AIによって今、打ち破られようとしている。クロス・マーケティングが新たに提示するのは、AIを駆使したインサイト発見の新手法だ。AIと人間が共創するインサイト発見の最前線について、話を聞いた。

    上市後まで伴走するリサーチへ 顧客理解の“Why”に迫る

    モノにも情報にもあふれ、生活者のニーズが多様化する現代。顧客の行動背景にある「なぜその商品を買おうと決めたのか」といった“Why”の解明は、ますます難しくなっている。こうした変化に対し、リサーチ業界も従来の役割からの変革を迫られている。

    クロス・マーケティングでCRM分析などをリードする峯俊洸大氏は、「かつてのリサーチ会社の主な役割は、上市前の市場調査にありました。しかし今は、お客さまが保有する購買などの行動データと、私たちが提供するリサーチ(意識データ)を掛け合わせ、顧客の行動背景にある“Why”を解明し、上市後のコミュニケーションまで伴走することが求められています。リサーチで独自データを収集して提供するだけでは、価値が出せない時代になっています」と語る。

    求められるのは多様化する“Why”の解明。しかし、そこに迫るには統計データだけでは難しく、インサイトを深掘りすることが必要となっている。手軽にインサイトに迫る手段として、「自由回答」のアンケート結果があるが、回答者の背後にある文脈まで読み解けないと、実際には使いこなすことは難しい。

    同グループでAIを活用した新プロダクト開発を担うメタサイトの深澤宙氏も、従来の調査手法からインサイトを導き出す上では、限界を感じていたという。「Webアンケートの自由回答は、『なんとなく』『特にない』といった抽象的で表層的な回答が多く、施策に活用できるレベルのインサイトが得にくいという課題がありました」。

    こうした課題に応えるのが、同社が提供するAIを活用したソリューションだ。その機能のひとつが、自由回答の「深さ」にアプローチするAIチャットインタビュー「Light Depth」。Webアンケートの自由回答に対し、「『サービスが使いづらい』と回答されましたが、それはどのようなシーンで感じたのですか?」など、AIがチャット形式でリアルタイムに追加質問を行い、回答を深掘りしていくというものだ。

    「ただ質問を繰り返すのではなく、それまでの回答の文脈や回答者の属性も理解して質問を最適化することで、より深みのあるインサイトを引き出します。納品される『AI清書』データでは、一連の対話が要約され、分析しやすい形で提供されるのも特徴です」(深澤氏)。

    このアプローチは従来、多大なコストと時間を要したデプスインタビューを、大規模かつ効率的に実施する可能性を秘めていると、データマーケターの内野明彦氏も評価する。



    図表 “なぜ・どうして”を聞くための重要なポイント

    ①調査や質問の目的と落とし所を理解する
    ②回答者ごとの事前情報を知る
    ③一人ひとりが、つまり何を言っているのかがわかる

    マクロとミクロの往復を高速化 AIでCRM分析が変わる

    リサーチ会社によるAI活用の方向性として、バーチャルヒューマンを調査モニターとして提供するサービスもあるが、同社ではあくまで人に対する調査にこだわっている。それゆえ、AIチャットインタビュー「Light Depth」だけでなく、最近ローンチした新サービスでも他のリサーチ会社とは異なるアプローチをとっている。

    そんなもうひとつのソリューションが顧客の行動データを「速く」分析し、施策へとつなげる「Journey AI Light」だ。クロス・マーケティングでは、内野氏と共に9年にわたり、顧客の購買履歴などを時系列で可視化する「星取表」や、個々の顧客の行動を詳細に追う「個票分析」といった手法で、CRM支援を行ってきた。

    「優良顧客や離反予備軍を特定するマクロな分析(星取表)と、その背景にあるN1の行動を読み解くミクロな分析(個票分析)を往復することで、精度の高い仮説を立てることができます。例えば、あるアパレル企業との分析では、『初回に特定のアイテムを購入した顧客はLTVが高い』ということが個票分析から浮かび上がりました」(峯俊氏)。

    一方で、この「細かいログを見て仮説を立て、またマクロなデータで検証する」という緻密な分析には、時間という大きな課題があった。しかし、AIを導入したことで、劇的な変化が起きていると峯俊氏は続ける。

    「データウェアハウスと生成AI環境を直接つなぎ、自然言語で指示を出すだけで、数日かかっていた集計や分析が数分で完了するようになりました。ワークショップ形式で議論しながら、その場でフラグを付け替えたり、異なる切り口で即座に再集計したりできます。顧客理解のスピードが格段に上がりました」(峯俊氏)。

    AIが「深掘り」や「分析」を代行してくれるようになった時、人間にしかできない本質的な価値はどこにあるのか。内野氏は、AIにはできない「意味付け」の重要性を説く。

    「『初回に特定のアイテムを購入した顧客はLTVが高い』という事実が分かったとしても、AIは『では、そのアイテムをレコメンドしましょう』としか言ってくれません。そこで人間が、『特定のアイテム初回購入者の背景には、例えば店員によるコーディネート提案が生じやすく、顧客とのリレーションが構築されやすいというメカニズムがあるのでは?』という“意味付け”と“仮説”を立てる。このスイッチを押すのが、人間の役割です」(内野氏)。

    この考えは、峯俊氏が目指すリサーチ会社の未来像とも重なる。「私たちの役割は、AIが弾き出した事実に対し、長年培ってきた顧客理解の知見や他業界の事例などの文脈を与え、ビジネスインパクトのある示唆へと昇華させること。これからのリサーチ会社は、『情報価値最大化産業』になるべきだと考えています」(峯俊氏)。

    AIと人間がそれぞれの強みを活かし共創していくなかで、マーケターやアナリストの役割も変化していく。「今後のマーケターの仕事は、AIとの対話そのものです。まずAIに高速で分析させ、その答えに対し、今度は人間が経験と知恵で『本当の“Why”』を問いかける。AIのおかげでこのマクロとミクロの往復を高速化できるようになったからこそ、今後はより本質的な戦略立案に時間を注いでいけるはずです」(内野氏)

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