あえて逆算しすぎない「積み上げ型」キャリアで掴んできたチャンス

公開日:2025年10月31日

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    第一線のマーケター・クリエイターが明かす、キャリアアップの奥義。今回は、I-neのグループ会社であるEndeavour(エンデバー)でCOO(最高執行責任者)を務める小林禎亮さんにこれまでのキャリアについて伺いました。良い転職は、良質な情報を入手することから始まります。「こんなはずではなかったのに…」とならないための、転職情報をお届けします!

    Q.マーケティングとの出会いを教えてください。

    マーケティングに興味を持ち始めたのは中学生の頃。森岡毅さんの著書を読んで、出身校である神戸大学を目指し、入学後はマーケティングを学びました。

    就活の軸は、「広告·プロモーションの会社で、300人以下のベンチャー」でした。当時は、「マーケティング=広告·プロモーション」というイメージがあって。広告主側の宣伝部門にも興味はありましたが、まずは多様な企業と接して視野を広げることが大事だと考えました。また、ベンチャーに絞ったのは、裁量を持って働きたかったからです。

    Q.なぜマイクロアドを選んだのですか?

    マイクロアドは、当時サイバーエージェントの子会社だったインターネット広告会社です。海外事業に強かったことが入社の決め手になりました。フィリピンでインターンをした経験もあり、海外で働きたかったんです。

    最初の配属は福岡支社でした。福岡支社の歴代社長が全員海外勤務になっていたため、自分もそのチャンスを掴みたいと思い、志望しました。福岡では法人営業として、DSP(ディスプレイ広告の配信ツール)を地元の企業に提案していたのですが、「ディスプレイ広告」と言っても伝わらなくて。「新聞広告をWebにも出せます!」と説明するなど工夫していました。その甲斐あって地方のクライアントさんと一緒に成長できた気がします。

    2年目に東京本社の配属になり、ナショナルクライアントを担当するようになるのですが、この頃から転職を考えるようになりました。大手企業のマーケティング担当者と対峙するなかで、「広告は、マーケティング活動のほんの一部分だ」と実感したからです。マーケティングの本質は利益の創出。「自分がやりたいのは、事業をつくり、伸ばすことだ」と自覚し、それを実現するために事業会社で働きたいと考え、転職活動を始めました。

    Q.事業会社のなかでI-neを選んだ理由は?

    有形商材に携わりたかったというのが理由のひとつです。有形商材はビジネスを成功させるための変数が、無形商材と比べて非常に多い。失敗のリスクがある分、やり甲斐もあると考えたからです。さらに、ブランド開発に強いI-neは、挑戦するには最高の場だと思いました。

    もうひとつは、海外プロモーションの担当としてオファーを受けたこと。前職では訪れなかった海外で働くチャンスも決め手になりました。ただ、入社後すぐに参加したアメリカ進出のプロジェクトはうまくいかず、数カ月後には国内新規ブランドのプロモーションを担うことになりました。新規ブランドだったのでできることの幅が広く、WebではYouTuberの活用に注力したり、CMをほぼ内製したり、自由にやらせてもらいました。

    転機が訪れたのは29歳のときです。2019年に入社し、2020年にプロモーションチームのマネージャーに就いて、すでに2年。「そろそろ広告の領域を出て、事業をつくりたい」と上司に相談したところ、D2C(直販)ブランドの立ち上げを担う部門を任せてもらえることに。僕がずっと目指してきた場所でした。

    Q.そこから、EndeavourのCOOに就任した経緯は?

    異動先の部署で立ち上げたブランドを子会社として切り出すことになったからです。I-neの規模が拡大するなか、スタートアップのマインドと反骨心を持ったブランドマネージャー集団をつくりたかったので、分社化に至りました。

    Endeavourでは、各ブランド担当者が、担当ブランドの全マーケティングプロセスに責任を持ちます。同時に、一匹狼にならず、それぞれの得意領域の知見を互いに共有する。COOである僕にとってはメンバーを有機的につなぎ、強い組織をつくることが当面のミッションです。

    これまでの自分を振り返ると、かつて描いた未来像とは少し違う道を歩んできたなと思います。実は、社会人1年目のときの目標は、恥ずかしながら「いつかナイキのCMOになる」ことでした。その実現のためにあるべき姿は、と「逆算型」で将来を考えていて、海外で働くのもそのためのプランのひとつでした。海外で働くという夢はまだ叶っていませんが、目の前のコトに集中し続けた結果、事業責任者という立場になり、着実に目標に近づいている。

    いつからか、キャリア観が「逆算型」から「積み上げ型」に変わったんです。逆算しすぎると、「目標に近づけない」とか「ハードルが高い」とか、仕事を選んでしまう。任された仕事にコミットして、成果を積み上げていってこそ、チャンスは巡ってくるのだと思います。

    正直に言うと、マーケターへの道のりの長さを目の当たりにし、マイクロアドに入社したことを後悔した時期もありました。しかし今はキャリアの最初に営業を経験してよかったと思っています。あのときに鍛えられた「利益を出す」というマインドは、事業をつくるうえで不可欠だからです。目の前の成果を全力で積み上げていく先に、CMOという未来があるかもしれませんよね。



    株式会社Endeavour
    COO
    小林禎亮 氏

    神戸大学経営学部卒業後、サイバーエージェントの子会社(当時)のマイクロアドに入社。福岡支社での営業経験ののち、東京本社で大手クライアントを担当。2019年にI-neに入社し海外進出プロジェクトに参加。プロモーションチーム、ECチームのマネージャーを経て、子会社「Endeavour」の創立に従事。2024年より現職。D2Cブランドの新規立ち上げとPL、マーケティング全般を統括している。

    聞き手
    株式会社マスメディアン
    取締役
    国家資格キャリアコンサルタント
    荒川直哉

    マーケティング・クリエイティブ職専門のキャリアコンサルタント。累計4000名以上の転職を支援する一方で、大手事業会社や広告会社、広告制作会社、IT 企業、コンサル企業への採用コンサルティングを行う。転職希望者と採用企業の両方の動向を把握しているエキスパートとして、キャリアコンサルティング部門の責任者を務める。「転職者の親身になる」がモットー。

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