第一線のマーケター・クリエイターが明かす、キャリアアップの奥義。今回は、Anker Japanで執行役員 マーケティング本部長を務める加藤ひと彩さんにこれまでのキャリアについて伺いました。良い転職は、良質な情報を入手することから始まります。「こんなはずではなかったのに…」とならないための、転職情報をお届けします!
Q.どんな学生時代を過ごしていましたか?
学生時代は社会学を専攻していましたが、進路を明確には描けていませんでした。就職活動で多くの企業に触れるうちに、メーカーのマーケティングに面白さを感じるようになり、社会学で培った多角的な視点がマーケティングと親和性があることにも気付きました。
ただ、新卒でメーカーのマーケティング職は募集数が少ないため、広告会社や調査会社など支援サイドで経験を積む道を選び、最初のキャリアとしてリサーチ会社のマクロミルに入社しました。
Q.支援サイドでの経験はどう役立ちましたか?
マクロミルではクライアントとの接点が持てる営業職を志望しましたが、配属はアンケート調査のオペレーション部門。想定外のスタートではあったものの、要件整理からシステムへの入力、回収まで成果物を確実に届けるプロセスを学べたことは大きな財産です。その後、念願かなって営業へ異動。ロールモデルとなる先輩社員から多くのことを学びました。様々な立場の方と仕事をする中で、多様な視点を持つ重要性を学べたことは、キャリアの基盤になりました。
営業部ではFMCG(日用消費財)企業を担当し、ブランドマネージャーの方々と仕事をする中で「これぞマーケティング」という現場を体感することができました。3年目にはアサツー ディ・ケイ(現ADKマーケティング・ソリューションズ)に常駐し、広告の世界に初めて触れることになります。
仕事をする中で「マーケターになるには広告コミュニケーションの理解が足りない」と痛感し、知見を広げるべく、外資系クリエイティブエージェンシーのグレイワールドワイドへの転職を決意しました。将来、外資系メーカーで働きたいという思いもあったのですが、決め手は当時のグレイがP&Gの案件を多く手掛けていたこと。マーケティングの王道を学べる環境は最大の魅力でした。
Q.メーカー転職を決断した背景を教えてください。
支援サイドで経験を積むのは5年、と決めていた私は、その期限を迎えたタイミングで、メーカーのマーケティング職に挑戦しました。選んだのはダイソンです。掃除機のイメージが強いブランドですが、前職の経験を活かせるヘアケア領域があり、さらに新規カテゴリーへの挑戦ができる環境だったことが後押しとなりました。
2年半の在籍期間に初めてシニアアソシエイトブランドマネージャーとして売上やシェアといった成果責任を担う立場にもなり、特にヘアスタイリング製品のローンチでは、プロジェクトリードとして施策をゼロから立案し牽引しました。マーケティング施策は広告だけに閉じず、カスタマーサポート、ロジスティクス、在庫管理など、あらゆる部門と連携しながら事業として成功させる必要があります。この全体を見て推進する力は、現在のキャリアにつながっています。
そして2020年、Anker Japanへ転職。日本法人で裁量を持ちながらスピーディーに意思決定できる環境と、異なるフィールドに挑戦したかったことが理由です。前職では、すでに成熟しているヘアケア領域を担当しましたが、当時Anker Japanが強化しようとしていたプロジェクター事業は、これから普及を目指す、市場そのものを育てていくフェーズ。そこに大きな可能性を感じました。プロジェクター「Nebula(ネビュラ)」(現在はAnkerブランドに統合)の初代ブランドマネージャーとして入社し、広告運用からSNS、PR、クリエイティブまで、あらゆる領域で手を動かす環境に身を置きました。ブランド戦略統括として5~ 6人のチームをマネジメントする立場から、50人規模の組織を率いるマーケティング本部長、そして現在の執行役員へと役割が広がる中で、私が評価されたのは「未経験の領域でも前に進める力」だったと感じています。
Q.この先どんなキャリアを築いていきたいですか?
若手マーケターに伝えたいのは、AI時代は経験の長さが必ずしも優位性にならないということです。ベテランと新米が同じ土俵で戦える。だからこそ、「自分なりの新しいマーケター像を定義し、価値を生み出してほしい」と思います。
私のキャリア設計はゴールから逆算して進めてきましたが、偶発的に出会った新しい仕事にも積極的に挑戦してきました。途中で得た気付きをもとに、ゴールまでの道筋を柔軟に軌道修正することが大切だと考えているからです。
メーカーのマーケターとして働くという当初のゴールは達成しましたが、今後は「どんな立場になるか」ではなく、「経営課題の全体像を見て、いま成すべきことを考えられるマーケターでありたい」というのが当面の目標です。
気が付けば、Anker Japanに来て5年。まだまだここで、自分のマーケター像を追求していきたいと思っています。
アンカー・ジャパン株式会社
執行役員
マーケティング本部長
加藤 ひと彩氏
マクロミル、グレイワールドワイドを経て、ダイソンにてブランドマーケティングを経験。Anker Japan参画後は、ブランドマネージャーとして主力製品のブランド戦略策定とプロモーションに従事。その後、ブランド戦略部門のリードマネージャーとしてチームの拡大や複数ブランドを強化。ブランド戦略、PR、ファン育成等を担当するマーケティング本部長に就任し、中長期的なブランド育成や顧客基盤の構築を担う。
聞き手
株式会社マスメディアン
取締役
国家資格キャリアコンサルタント
荒川 直哉
マーケティング・クリエイティブ職専門のキャリアコンサルタント。累計4000名以上の転職を支援する一方で、大手事業会社や広告会社、広告制作会社、IT 企業、コンサル企業への採用コンサルティングを行う。転職希望者と採用企業の両方の動向を把握しているエキスパートとして、キャリアコンサルティング部門の責任者を務める。「転職者の親身になる」がモットー。
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