MIXIが展開する写真・動画共有アプリ「家族アルバム みてね」(以下「みてね」)が2025年4月、本格的な広告事業を開始した。現在、7言語・175の国と地域に対応し、世界累計利用者数は2700万人に到達(2025年8月時点)。国内では子育て世代の半数以上が使う圧倒的認知を持つ同サービスの取り組みについて、みてね事業開発部の仲安晃一氏と久保沙知代氏に話を聞いた。

サービス開始から10年で子育て世代の6割が利用
「世界中の家族のこころのインフラを作る」をミッションに掲げる写真・動画共有アプリ「家族アルバムみてね」。サービス開始から10年が経ち、日本の子育て世代の6割以上(※1)が利用するなど、ユーザー数は右肩上がりで伸長してきた。
※1「みてね」登録時に入力されたお子さまの誕生日と厚生労働省発表「人口動態統計」から算出。2025年6月時点で61.3%。
基本機能は無料だが、機能を拡充するサブスクリプションサービスや、フォトブック・年賀状の制作、さらに「みてねみまもりGPS」やオンライン診療サービスといった関連事業により、事業としても成長を続けてきた。
これまで同社は「家族に安心して使ってもらえる環境」を重視し、広告表示を控えてきた経緯がある。しかし、ユーザーボリュームが増えてきた中で、より持続可能な成長モデルを構築するべく、2024年8月より無料版での運用型広告の表示を開始。2025年4月に、同事業として初めて本格的な広告事業を開始した。

みてねの写真プリントやフォトブックサービス。思い出の家族写真に添えて、広告もトンマナに沿ったクリエイティブで提供する。
丁寧なコンテンツ制作で祖父母世代にもアプローチ
提供を開始したのは、家族向けのブランドマーケティングソリューション「みてねブランドパートナー」。広告事業の責任者である仲安晃一氏は「基本的には獲得型というより、サービスのブランド認知を広げていただくために、みてねのプラットフォームを使ってもらいたい」とメニューの目的を説明。
「“広告主”というよりは、“みてねのスポンサー”や“パートナー”という方が、イメージに近いかもしれません」と続ける。
同メニューでは、ブランド企画営業グループを中心に、企業のブランディング課題に合わせてゼロベースでプランニングを行う。
例えば、旅行関連企業の事例では、モニターとして募集した「みてね」ユーザーの家族にホテルに宿泊してもらい、親目線、子ども目線の体験をコンテンツ化。日々の成長を1秒ずつ切り取ってつなげる「1秒動画」のフォーマットに倣った動画を制作した。動画は「みてね」のアプリ内企画LPとして掲載し、またクライアント側のコンテンツとしても発信。双方のブランド力を生かしたアプローチにより、ブランドリフト調査では接触者と非接触者の利用意向に10ポイント以上の差が生まれたという。
また子どもの月齢や年齢、エリア、子どもとの続柄(父母・祖父母など)によるターゲティングができるのも大きな特徴だ。「みてね」を使いたいがためにスマートフォンに変える動きもある祖父母世代を対象にしたデジタルマーケティングができるメディアは貴重で、出稿したメーカーから「記事のスクリーンショットを持って店舗に来てくれた」といった声など、定量的な数値では捉えにくい反響もあるという。
「広告記事であっても“みてね”に対する熱量や愛着そのままに触れていただいている実感があります。通常であればランキングの上位から売れる傾向がある中で、ユーザーが価格や人気だけではない、それぞれのニーズに合ったアイテムを選ぶようになり、満遍なく売れるようになった、という事例もありました」(久保氏)。
さらにオフラインの施策も拡充している。みてねで人気の無料写真プリントサービスを活用し、写真と同じサイズで印刷した「同梱広告」も提供中だ。
厳格な広告審査で「家族に安全な環境」を維持
「みてね」の最大の特徴は、家族が同時に同じ情報に触れる体験を提供できることである【図表】。幼い子ども自身が目にすることもある。
仲安氏は「リビングで家族と一緒にテレビを見ている感覚に近い」と説明する。したがって運用型広告に関しても厳しいカテゴリーブロックを実施し、「ブランドパートナー」のコンテンツ制作においても細部まで気を配る。条件は“子育て世代にアプローチする商材”。とはいえ食品・アパレル・レジャー・保険・自動車など、さまざまな業界で活用が可能だ。
図表 家族向けブランド確立のための好意度・想起の醸成に寄与

親、子ども、祖父母まで、家族の各世代が同じ情報に触れる機会を創出できるのが「みてね」の強み。「みてね」を通じて家族が「○○したい」「○○を買おう」と思った時、家族で共通するブランドの想起に貢献する。また、リラックスしている「家族モード」のタイミングに接触できることも特徴だ。
子どもの成長に合わせた半自動ターゲティングも構想中
サービス開始から10年。当時幼かった子どもが高校生になって「自撮り」を投稿したり、写真についたコメントを大切に読み返したりと、長く続いたからこその新たな価値が生まれている。「家族のこころのインフラ」を目指す「みてね」は、家族にとって本当に価値のある情報提供を実現しようとしていると仲安氏は話す。
準備中のメニューである「ファミリーパートナー」では年単位でタッグを組み、「みてね」主催の企画やイベントなどでの協業を想定しているという。また、子どもの年齢に合わせて0歳にはおむつ、半年たったらハーフバースデー、1歳になったら離乳食といった「半自動ターゲティング」も構想中だ。
仲安氏は「広告=悪ではなく、子育て中の家族にとって必要な情報のポジションであり続けたい」と意気込みを語った。

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