「面白い!」を追い続けて築いた自分らしいキャリア

公開日:2026年10月30日

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第一線のマーケター・クリエイターが明かす、キャリアアップの奥義。今回は、ニューバランスジャパンでマーケティング本部ディレクターを務める鈴木 健さんにこれまでのキャリアについて伺いました。良い転職は、良質な情報を入手することから始まります。「こんなはずではなかったのに…」とならないための、転職情報をお届けします!

Q.新卒で広告会社に入社したのはなぜですか?

私が就職活動をしていたのはバブルの終わりごろ。明確にやりたいことがなかったので、当時人気だった広告業界を受けました。その中でご縁があったのがオリコムでした。

最初の配属は営業です。志望したというより、深く考えず、配属希望に「媒体」と記入して提出しました。文学部だったのでコピーライティングにも興味がありましたが、当時のオリコムは制作部門が別会社だったので、クリエイティブのポジションはなかったんですよね。

入社当時はイベントやラジオCM制作などを担当。ただ、いわゆるできる会社員ではなかった私は、怒られることも多かったですし、先輩に「向いていない」とまで言われたこともあります。しかし、その叱責も悔しいというより、そのまま受け止めていました。年の近い先輩も多く、楽しく仕事をしていたので、辞めようとは思いませんでしたね。

Q.外資系でキャリアを広げた理由は?

転機は、オリコムで担当したトイザらスの仕事で、アメリカ本社でプレゼンをする機会を得たことでした。英米文学専攻だったこともあり、非常に楽しかった。「もっと英語を使う環境で働きたい」と、小さな広告会社へ転職しました。

その後、入社したDDB Japanは研修制度がしっかりしていて、初めてマーケティングを体系的に学ぶことになりました。それまでは広告やイベントといったアウトプットしか経験してきませんでしたが、その前段階にある戦略設計やブランド構築の重要性を知ったことで、苦手だった専門書も読めるようになりました。特に『ポジショニング戦略』(アル・ライズ、ジャック・トラウト著)に書かれた考え方は面白いなと思い、当時、担当していたスポーツブランドの企画に取り入れてみたところ、提案が採用されました。「戦略がクリエイティブにつながる」ということを初めて実感した瞬間でした。このころからどんどん仕事が面白くなっていきました。

Q.事業会社では何を学びましたか?

もっと戦略に深くかかわりたい。その思いから、ストラテジックプランナーへの転身を考え、I&S BBDOに入社しました。

ただ、広告会社の仕事は担当クライアントが固定されていることが多く、3年が経ったころには物足りなさを感じるようになっていました。そんなとき、かつての上司から「ナイキに興味ある?」と連絡が入ったのです。その時考えていたことについて話すと、その中の何かが相手の琴線に触れたらしく、「受けてみたら」と勧められ、選考を経て入社しました。

ナイキジャパンではゴルフ部門のマーケティングチームで広告領域を担当しました。事業会社では自由に仕事ができると思っていましたが、現実はまったく違いました。商品開発、営業、グローバル本社など、さまざまな関係者との調整が続く毎日。広告会社とは異なり、「納期」というわかりやすい区切りがなく、施策の実行後は効果測定をしながら次の施策を立案し、並行してブランドの未来を考え続けなければならない。ゴールが見えない日々は、まるで回し車で走り続けるハムスターのような気分でした。

ただ、次々に新しい課題が現れ、そのたびに視野が広がっていくので、飽きることはありませんでした。

異動先のウィメンズ部門では、ブランドを守るための厳格なクリエイティブ審査も経験しました。日本市場に合わせること以上に、「ナイキらしさ」というブランドの譲れない基準がある。その徹底ぶりから学んだのは、ブランドを育て、守り、成長させる責任の重さでした。

今、マネジメントで大切にしていることは?

ナイキジャパンで経験を積んでいたころ、ニューバランスジャパンの久保田社長(当時の本部長)と会う機会があり、同じ業界で働く仲間として、当時感じていた問題意識を語り合ったことが縁となり、2009年に入社します。

ニューバランスジャパンは、ナイキとは社風も課題も異なりました。地域の販売はその地域のエキスパートが担い、日本独自の発展を遂げていました。また急激な変革より、安定した組織運営を大切にする文化があります。今では、本社がブランド戦略を主導する体制へと変わりましたが、私もその時々で生まれる課題に向き合い続けてきました。文化の違いも含めて、居心地がよく、気づけばもう17年が経ちました。

現在は約30名のマーケティング組織を率いていますが、私が大切にしているのは、結果だけで人を評価しないことです。

かつて私の上司は、大きなコンペに敗れた日、チーム全員を集めてこう言いました。「案件は失ったとしても、私たちは誇れる仕事をした。今日はそれを祝おう」。課題に真剣に向き合い、考え抜いたプロセスも評価する。結果だけにとらわれず、広い視点を持って、面白がり続けてほしいですね。

株式会社ニューバランスジャパン
マーケティング本部 ディレクター
鈴木 健氏

慶應義塾大学文学部英米文学専攻卒業後、1991年オリコム入社。営業職からキャリアをスタート。1997年にDDB Japanのシニア・アカウントエグゼクティブ、I&S BBDO ストラテジックプランナーを経て、2002年9月ナイキジャパン入社。ナイキゴルフの広告を担当し、ウィメンズトレーニングのブランドマネージャーを経験。2009年にニューバランスジャパン入社、2020年1月より現職。

聞き手
株式会社マスメディアン
取締役
国家資格キャリアコンサルタント
荒川 直哉

マーケティング・クリエイティブ職専門のキャリアコンサルタント。累計4000名以上の転職を支援する一方で、大手事業会社や広告会社、広告制作会社、IT企業、コンサル企業への採用コンサルティングを行う。転職希望者と採用企業の両方の動向を把握しているエキスパートとして、キャリアコンサルティング部門の責任者を務める。「転職者の親身になる」がモットー。

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