世界のエンターテインメント&メディア市場は成長を続けている。そのなかで、デジタル広告市場の拡大、リテールメディアの浸透、そして生成AIによるハイパーパーソナライゼーションの進展により、広告は収益源を超え、顧客体験そのものを形成する基盤へと変貌しつつある。日本市場においても独自のカルチャーやリアル体験価値が軸となり、新たな成長構造が生まれつつある。広告が主導するE&M市場の未来について、PwCコンサルティングディレクターの速水桃子氏が解説する。
広告業界がけん引するエンタメ&メディア市場の未来
2025年7月にPwCが発表した「グローバルエンタテイメント&メディアアウトルック2025-2029」では、世界のエンタテイメント&メディア(E&M)市場は2029年に3.5兆米ドルに達する見通しです。これは5年間での年平均成長率(CAGR)が3.7%と、世界経済の平均成長率を上回る高水準である一方、新型コロナウイルス感染症のパンデミック前の水準よりは鈍化しており、市場の成熟を示唆しています。
特筆すべきは、E&M市場の成長を強くけん引しているのが「広告」分野である点です。この分野はCAGR6.1%と消費者支出の3倍以上のペースで成長しており、広告収入が消費者支出を上回る構造への転換が進みつつあります。これは「コンテンツ対価としての消費者支出」から「広告によるマネタイズ」へ、収益...

