生成AIの台頭により、業務の効率化が実現するとともに、メディアの在り方や、企業と生活者の接点のつくりかたをも変えるような大きなインパクトが予測されます。マーケターは、これらの技術をどのように受け入れ、業務に生かしていけばよいのでしょうか。31回目は前号に続き、「デフォルト設計」に着目。マーケターの持つべき役割について考えます。
デフォルト設計が生む「行動の初期条件」
ここまで、本連載では「レコメンド社会」がもたらす意思決定の偏りと、そこに潜む“自己洗脳ループ”の危険性を論じてきた。前号の第30回では、企業が設定する「デフォルト設計」に着目。SNSやWebブラウザにおいて、企業の利益を捨ててでも人々の信頼と安心を優先すべく、あえて“依存させる仕組み”を排除しようとする例を提示した。今回もいくつかの設計例を示しながら、マーケター自身が目指すべき方向性を考えていく。
Wordle、BeReal、Mastodon “依存させない”アプリたち
アプリのなかには、「依存させる仕組み」をそもそもつくらないという発想でつくられたものがある。
例えば「Wordle」は、1日1問だけ出題されるワードパズルで、クリアしたらその日はおしまい。理屈の上では、無限に広告付きパズルを出して時間を奪うこともできた。それでも「今日の分は1問だけ」という設計にしている。ユーザーに“もっとやりたい”という欲求を残しつつ、滞在時間を増やしすぎないデフォルトを選んだとも言える。
SNSの「BeReal」も...

