花王が2021年に発表したAI肌解析技術「Kirei肌AI」は、バージョンアップにより2025年に肌表面だけでなく内部の状態まで推定できる技術へと進化した。化粧品開発の現場で何が変わり、生活者とのコミュニケーションはどう広がったのか。本技術を開発した花王化粧品研究所兼DXソリューションズセンターの西野顕氏に話を聞いた。
※本稿はWebニュースサイト「AdverTimes.」にて2025年12月1日に公開した記事を、一部抜粋・編集して転載しています。
言語化しにくい美容評価をデータから数値化
̶西野さんがAI研究に携わるようになった経緯を教えてください。
私はもともとコンピュータサイエンスを専攻していて、画像解析を専門にしていました。博士課程を修了した後の2012年に入社。肌の状態やメイクの仕上がりを画像から分析する研究を進めていました。さらに深層学習(ディープラーニング)が急速に進化した2010年代後半から「これは化粧品研究に応用できる」と感じ、本格的に取り組み始めました。
2020年に新型コロナウイルスの影響で在宅期間が増えたこともあり、その時間を使って深層学習について実務レベルまで勉強し直しました。そこから社内でAIを活用した解析技術のプロトタイプをつくり、2021年に第1弾となる「Kirei肌AI」をリリース。顔画像から...


